毒をもつ霊長類は、なぜ見失われたのか
同じ仲間の別の種、フィリピンスローロリスです(インドネシア・東カリマンタン)。バンカスローロリスではありません。バンカスローロリスは、前を向いた大きな目のまわりが黒っぽく、仮面をかぶったような模様をしています。Credit: Fathurrahman Sidiq / iNaturalist(CC BY 4.0)バンカスローロリスの体の長さは、およそ26cmです。
30cmの定規に少し足りないくらいの大きさです。
毛は赤茶色で、頭は丸く、耳はとても小さい動物です。
前を向いた大きな目のまわりは黒っぽく、仮面をかぶったような模様になっています。
かわいらしい見た目ですが、その毒の使い方は動物の世界でもほかに例がありません。
身の危険を感じると、両腕を頭の上に上げ、肘の近くにある特別な腺(せん)をなめます。
身を守る姿勢をとるスローロリスの仲間です。写っているのはフィリピンスローロリスやジャワスローロリスなどの別の種で、バンカスローロリスではありません。どの個体も両腕を頭の上に上げ、腕の腺から出る液をだ液と混ぜようとしています。Credit: Nekaris, K. A. I.; Moore, R. S.; Rode, E.; Fry, B. G. / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)腺から出た液がだ液と混ざって毒になり、強い力でかみついて相手に入れるのです。
人がかまれると、激しい痛みやはれが起き、まれに命にかかわるアレルギー反応が出ることもあります。
別の種であるジャワスローロリスを野生で8年間追った研究によると、この種は仲間どうしのけんかに毒を使っていました。
なわばりやつがいの相手を守るためと見られ、天敵や寄生虫を遠ざける役目を果たしている可能性もあります。
ただし、バンカスローロリスが同じように毒を使うのかは、まだ調べられていません。
この動物は夜に動き、枝を手足でしっかりつかみながら、とてもゆっくり進みます。
枝の下にぶら下がったまま食べ物に手を伸ばし、森の中をほとんど音を立てずに移動します。
後ろ足で枝にぶら下がる、スマトラ島のスンダスローロリスです(アメリカ・ノースカロライナ州のデューク・レムールセンター)。同じ仲間の別の種で、バンカスローロリスではありません。バンカスローロリスも、枝の下にぶら下がったまま食べ物に手を伸ばします。Credit: David Haring / Duke Lemur Center / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)最初に学術的に報告されたのは1906年ですが、独立した種と認められたのは2013年です。
そして、科学の記録として最後に残っていたのは、1937年の報告でした。
新しい論文によると、その報告に出てくる個体は、さらに何年か前に捕まえられていた可能性もあります。






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