ガスの炎から出る「目に見えない刺激物」
ガスコンロの炎です。ガスコンロのように、燃えた後の気体を外へ逃がす管の無い器具は、室内の二酸化窒素の主な出どころに挙げられています。Credit: Ivan Radic / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)ガスコンロで炎が燃えると、いくつかの汚れた気体が空気中に出ていきます。
その一つが、二酸化窒素(にさんかちっそ)という気体です。
二酸化窒素を吸うことと、ぜんそくの症状が強まることには、つながりがあります。
子どもを対象にした研究では、二酸化窒素がゼーゼーという呼吸やせき、ぜんそくの発作を増やしうることが示されています。
1回ごとに決まった量の薬が出る、ぜんそくの吸入器(定量噴霧式吸入器)です。ぜんそくの治療には、炎症を抑える吸入ステロイドのように、吸い込んで使う薬が使われます。Credit: Wikip2011 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)しかも、ガスコンロで温めたり、蒸したり、揚げたりしている間、そばの二酸化窒素はぐんと濃くなります。
その濃さは、米環境保護庁(EPA)が屋外の空気に定める1時間あたりの基準を、大きく上回ることがあるほどです。
つまり台所で料理をする人は、外なら問題になる濃さの空気を、すぐそばで吸っていることがあるのです。
米国の家庭では、家の中と外で吸い込む二酸化窒素を合わせたうち、4分の1がコンロから来ているという見積もりもあります。
よく料理をする家では、その割合が半分を超えることもあるそうです。
では、炎を使わないコンロに替えたら、どうなるのでしょうか。
これを確かめようと、米ケース・ウェスタン・リザーブ大学のアシュウィニ・セーガル氏らは、ある計画を進めました。
米環境保護庁の助成を受け、オハイオ州クリーブランドで、ぜんそくの人がいる家のコンロを電気式に替える計画です。
IHコンロの上に新聞紙を挟んで、湯を沸かしているところです。IHコンロは炎が出ないため、紙を近づけても燃えることはありません。Credit: Wtshymanski / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)このうち試験の対象になったのは、ぜんそくがうまく抑えられていない85人です。
72世帯すべてに、鍋そのものを電気で温めるIHコンロ(電磁誘導加熱式)が入りました。
そのうち14世帯では、換気扇のフードも新しく取り付けられています。
症状は、ぜんそくの調子を点数にする質問票(ACQ)で測り、点数が高いほど症状が重いことを表します。
質問には交換の1〜4週間前に答えてもらい、交換から2〜3カ月後にもう一度答えてもらいました。
あわせて、救急外来の受診や入院、仕事や学校を休んだかどうか、室内の二酸化窒素の濃さも調べています。
こうして、ガスの炎がある台所と無い台所での暮らしを、同じ人について比べられるようになりました。






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