丸い地球を平らにすると、どこかが必ずゆがむ
NASAの観測衛星のカメラが、地球からはるか遠くの宇宙から撮った地球で、正面にアフリカ、上のほうにヨーロッパが写っています。この丸い表面を、しわを寄せずに平らな紙へ広げることはできません。Credit: NASA/GSFC(Public domain(NASA))地図づくりの難しさは、実は数学そのものにあります。
球の表面は、どう工夫しても、平らな面にぴったり広げられないのです。
丸いボールを包装紙で包もうとすると、どこかに必ずしわが寄るのと同じことです。
地図の作り手たちは、何百年も前からこの難しさに気づいていました。
国や大陸の形と面積の両方を、1枚の世界地図で同時に正しく描くことはできません。
どの地図も、何かを正しく保つ代わりに、別の何かをあきらめるしかないのです。
その代表例が、1569年にフランドル(現在のベルギー周辺)の地図製作者ゲラルドゥス・メルカトルが考えた描き方(メルカトル図法)です。
メルカトルが1569年に出した世界地図で、18枚に分かれた紙をつなぎ合わせた全体の姿です。メルカトルはこの描き方を、航海に使う世界地図として世に出しました。Credit: Gerardus Mercator / Wikimedia Commons(Public domain)この地図は、地球上の角度を正しく保つように作られています。
そのため、方位磁針で一定の向きに進む航路が、地図の上では1本の直線になります。
船乗りには非常に便利で、何世紀にもわたって世界地図の標準になりました。
作り方は、赤道で地球に接するように紙の筒をかぶせ、地表の点をその筒に写し取るというものです。
ところがこの方法では、赤道から離れるほど陸地が大きく引き伸ばされてしまいます。
たとえば北極に近いグリーンランドとアフリカは、この地図ではほぼ同じ大きさに見えます。
しかし実際には、アフリカの面積はグリーンランドの約14倍もあります。
アフリカとグリーンランドの本当の広さを、マス目の数で比べた図です(形は実際の陸地とは違います)。メルカトル図法ではほぼ同じ大きさに見える2つですが、面積にはこれだけの差があります。Credit: ナゾロジー編集部(編集部が作成した図)グリーンランドを14個集めて、ようやくアフリカ1つ分になる計算です。
北ヨーロッパや北アメリカも、赤道付近の地域と比べて同じように大きく描かれています。
メルカトル図法は、角度を守る代わりに、広さを大きく犠牲にした地図だったのです。







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