絶滅寸前の「対馬のヤマネコ」に前例のない半分の尻尾――イエネコの痕跡はみつからず

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対馬のヤマネコは替えがきかない

対馬のヤマネコは替えがきかない対馬のヤマネコは替えがきかない / Ctrdit:Canva

世界中のイエネコの祖先は、北アフリカから中東にかけて分布するリビアヤマネコという野生ネコの系統です。

世界各地にはもともと地元のヤマネコたちがいましたが、リビアヤマネコに人間に好ましい変化が起こり、世界中に拡散していったと考えられています。

たとえば古代中国の遺跡を調べた研究では、5000年以上前から西暦150年ごろまで、人々のそばで暮らしていたのはずっと地元のベンガルヤマネコだったことが分かっています。

リビアヤマネコの血を引くイエネコが中国に現れるのは、そこから数百年の空白をおいた唐の時代でした。

人のそばで暮らすネコの顔ぶれが、地元のヤマネコから外来のイエネコへ、まるごと入れ替わっていたのです。

ナゾロジーにて過去に報告した研究では、その入れ替わりの様子が明かされています。

ローマ帝国と唐の時代に「人と暮らすネコ」が知らぬ間に別系統に入れ替わっていた

対馬に生息するツシマヤマネコもまた、昔から対馬に生息していた地元のヤマネコです。

環境省の最新の調査では、島の北部にあたる上島に約90〜100頭が生息すると推定され、南部の下島では少なくとも17頭が確認されている絶滅危惧種です。

このような小さな島に閉じ込められた野生のヤマネコ集団にとって、イエネコとの交雑は病気や事故とは別の形の危機になります。

交雑を繰り返すことで、イエネコ由来の遺伝子は世代を追うごとに集団の中へ散らばっていきます。

一度混ぜてしまった絵の具が元の色に戻らないのと同じで、対馬のヤマネコだけが受け継いできた遺伝的な特徴は、薄まったあとで取り戻すことができません。

実際、ヨーロッパヤマネコではイエネコとの交雑が広い範囲で進み、交雑した個体についてヤマネコとして扱うかイエネコとして扱うかという難しい問題が出てきてしまっています。

対馬のヤマネコだけが持つ特徴を守るには、イエネコとの交雑を避けなければなりません。

しかし2024〜2025年の調査により、尾に異常のある個体が複数地点で少なくとも3頭見つかりました。

環境省はこのうち1頭を捕獲し、レントゲン検査などを行っています。

するとオス成獣の一般的な尾の長さが24.5センチ前後であるのに対し、この個体の尾は10.4センチであることが明らかになりました。

ここで真っ先に疑われたのは、対馬にいるイエネコとの交雑です。

日本の猫には、尻尾が短い個体やカギ状に曲がった個体が少なくありません。

ジャパニーズボブテイルのように、短い尾そのものが品種の特徴になっている猫までいます。

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