「漢字」から丈夫な設計を学ぶ
今回の研究の背景にあるのは、「メタマテリアル」と呼ばれる材料です。
これは、材料の成分ではなく内部の構造を人為的に設計することで、通常の材料では得られないような強さや変形の性質を生み出す人工材料を指します。
たとえば蜂の巣のようなハニカム構造が軽くて丈夫なのは、材料の成分だけでなく、その形のおかげです。
研究チームはここからさらに発想を広げ、折り紙やイスラム幾何学模様のように、文化的な形そのものが新しい構造設計の手がかりになるのではないかと考えました。
そこで注目されたのが漢字です。
漢字は複数の線でできており、それらが正方形の中に収まるよう整理されています。
縦線、横線、交差、離れた余白といった特徴は、構造体の力の流れを考えるうえでも手がかりになります。
研究では、学習用の初歩的な漢字の中から、単純で一体化した形を持つ文字として「人」「大」「天」「夫」が選ばれました。
いずれも似た骨格を持ちながら、横線の数や長さ、位置が少しずつ異なっています。
複数の漢字構造を設計 / Credit:Chloe Doey Leung(The University of Edinburgh)et al., Journal of Applied Physics(2026), CC BY 4.0研究者たちは、これらの漢字をもとにしたユニットセルをコンピューター上で設計し、それを5×5に並べた構造体を3Dプリンターで作製。
さらに、比較用として一般的なハニカム構造も用意しました。
完成した試料には上から圧縮を加え、どれだけ変形するか、どの程度の荷重に耐えられるかを調べています。
その結果、細く広がる部分を持つ構造は曲げ変形しやすく、横線を持つ構造ほど力を分散しやすい傾向が見られました。
特に「天」をもとにした構造は、他の漢字ベースの構造や比較用のハニカム構造よりも高い剛性と強度を示しました。
では、なぜ「天」をもとにした構造が特に優れていたのでしょうか。より詳細な結果を次項で見ていきましょう。









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