オスは「うまくメスを識別できない」という前提
この「急上昇と落下」を繰り返す飛翔ダンスは、オス個体のみが行う行動であることは、以前から知られていました。
しかし、そのダンスはどう見ても非効率で、エネルギーの無駄にも思えます。
しかも、カゲロウの成虫の寿命は、数時間から数日しかありません。
それなのに、なぜこんな非効率な飛翔ダンスを行うのでしょうか?
実際の映像がこちら。
カゲロウの飛翔ダンス/ Credit: Video: Imperial College London研究チームはこの謎を解くため、カゲロウ(Ephemera vulgata)の群れを野外で観察し、飛行を3次元で再構築しました。
すると驚くべき事実が浮かび上がります。
まず、オスのカゲロウは「メスを正確に見分けているわけではない」という点です。
むしろその逆で、非常に大ざっぱなルールで対象を判断していました。
具体的には、
・自分より上にいる
・横方向(水平方向)に動いている
この2つの条件を満たすものを「メスらしい」と判断して追跡します。
つまり極端に言えば、「上空を横切る影」であれば何でも追ってしまうのです。
実験では、カゲロウは本物のメスだけでなく、形がまったく異なる物体にさえ接近しようとする様子が確認されています。
ここから分かるのは、カゲロウのオスは高度な識別能力を持っているのではなく、むしろ「ほとんど識別していない」に近いという点です。
それにもかかわらず、現実にはオス同士が無駄に追いかけ合うことはほとんどありません。
この矛盾こそが、次の発見につながります。









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