噴き出す塩水の下、ガス井の壁に暮らす微生物
千葉県大多喜町にある「天然瓦斯井戸発祥之地」の碑です。今回の研究で微生物が見つかったのも、同じ千葉県にある天然ガスの井戸でした。Credit: Higa4 / Wikimedia Commons(CC0)研究チームが目を付けたのは、千葉県・房総半島にある天然ガスの井戸でした。
井戸にはメタンを含む塩辛い地下水が湧き、壁には微生物の膜(バイオフィルム)ができています。
この塩水は間欠泉のように時おり噴き出し、そのたびに水位が一時的に下がります。
そのため、ふだんは酸素のない地下由来の塩水に沈んでいる壁のバイオフィルムも、1時間おきに空気、つまり酸素にさらされていました。
そこに少しだけ混じっていたのが、ヘイムダルアーキア(Heimdallarchaeia)と呼ばれる古細菌です。
古細菌の中で、真核生物に最も近い所で枝分かれしたグループにあたります。
ヘイムダルアーキアの細胞を、遺伝子の目印(プローブ)で光らせて撮った顕微鏡写真です(左の列では、目印の光を緑、DNAを染めた色を青、細胞が自分で出す光を赤で重ねています)。Credit: Salcher et al. / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)チームは井戸の塩水をろ過して培養液の土台にし、酸素を取り除く薬をあえて入れずに育て始めました。
わずかな酸素にさらされる、自然に近い条件を残すためです。
約3か月後に目当ての古細菌の遺伝子が見つかると、餌として粉ミルクとカザミノ酸(分解したタンパク質)を加えました。
同時に5種類の抗生物質を加え、ほかの細菌を減らしていきました。
最後まで残った細菌も1種ずつ取り出し、効く抗生物質を調べて追い出しています。
こうして最初の採取から3年後、メタンをつくる微生物1種とだけ暮らす状態で、目当ての古細菌が取り出されました。
この株はHC1株と名付けられ、同じ仲間のSC1株も別に得られました。
HC1株は、30℃で育てても数が2倍になるのに7〜12日かかる、とても気の長い微生物でした。







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