「寄付された脳」だけでは、本当の割合が分からない
アルツハイマー病に関わる変化がある高齢の人の脳の「海馬」という場所で、タウというタンパク質を染め出して、絡み合ったかたまりが見えるようにした組織の写真です。CTEの脳でも、タウが不規則に固まり、絡み合ったような状態になります。Credit: Patho / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)CTEになった脳では、ふだんは神経細胞どうしのやり取りを助ける「タウ」というタンパク質に異常が起きます。
脳の中では、このタンパク質が不規則に固まって害のあるかたまりとなり、絡み合ったような状態になります。
生きているうちには、物忘れや集中しにくさ、気分の落ち込み、衝動を抑えにくいといった症状が出ることがあります。
この病気は、接触の多いスポーツの選手のほか、パートナーから暴力を受けた人や戦地の兵士にも起こりえます。
中でも最も多く見つかってきたのが、アメフトの選手です。
アメフト選手の研究では、頭への打撃が続いた期間が長いほど、CTEになりやすく、重くなりやすいことも示唆されています。
アメフトチーム「ブラウン・ベアーズ」のヘルメットを後ろから見たもので、「Ever True」という言葉が書かれています(2021年11月6日、イェール・ブルドッグスとの試合)。アメフトでは、激しいぶつかり合いの中で、選手の頭にくり返し衝撃が加わります。Credit: Kenneth C. Zirkel / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)ただし、この病気は亡くなったあとに、解剖で診断されます。
そのため、これまでの知識の多くは、家族などの意思で寄付された脳を調べる研究から得られてきました。
2017年の研究では、寄付された元NFL選手の脳の99%でCTEが確認されています。
調べた111人のうち、CTEが見つからなかったのはたった1人でした。
ところが、脳を寄付するかどうかは、選手が生前どんな様子だったかに左右されている可能性があります。
物忘れなどの症状があった選手ほど、家族が脳の寄付を選びやすかったのかもしれません。
そうなると、寄付された脳には病気のある人が集まり、割合は実際より高く出てしまいます。
そこで米ボストン大学の研究チームは、寄付しなかった選手まで含めた全体の割合を推計しました。
亡くなった元NFL選手全体でCTEの割合を見積もるのは、チームによれば初めての試みです。







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