マッコウクジラの発声に「ヒト言語と似た構造」を発見

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クリック音の中に見つかった「ルール」

今回の研究では、カリブ海ドミニカ沖に生息するマッコウクジラの音声データから、約4000のクリック音(コーダ)が分析されました。

対象となったのは、メスや若い個体15頭です。

成熟したオスは単独行動が多く、コミュニケーションの様式が異なる可能性があるため除外されています。

分析の結果、マッコウクジラの発声には、人間の言語に見られる「音のルール」とよく似た特徴が見つかりました。

まず注目されたのが、コーダの種類です。

音の中に含まれる共鳴構造のピーク(フォルマント)の数によって、コーダは大きく2つに分けられました。

ひとつはピークが1つの「aコーダ」、もうひとつはピークが2つの「iコーダ」です。

これはちょうど、人間の母音の違いのように、音の質によって分類されている点が特徴的です。

さらに、aコーダはiコーダよりも長く発せられる傾向があり、iコーダの中には短いものと長いもののバリエーションが存在しました。

これは、日本語でいう「お」と「おう」のような長さの違い、いわゆる長母音に近い性質です。

また、個体ごとにクリックのタイミングが異なり、同じ種類のコーダでも発声のテンポに個性があることも確認されました。

人間でいう話し方の速さやリズムの違いに似ています。

そして特に重要なのが、音同士の「影響」です。

あるコーダから次のコーダへ移るとき、前後の音が互いに影響し合い、音質が変化する現象が見られました。

これは人間が発話する際に、前後の音の影響で発音が変わる「連続発音(同化)」とよく似た現象です。

例えば、人間の言語で「a」と「u」が組み合わさって「au(アウ)」のような音になる現象に似ています。

これらの特徴は単独で存在するだけでなく、組み合わせることで多様なパターンを生み出します。

つまり、クジラのクリック音は単純な繰り返しではなく、「組み立てられた音」だったのです。

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