63℃のお湯で増えるアメーバ、核を持つ生き物の「62℃が限界」説を破る

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「真核生物は62℃が限界」と考えられてきた

細胞1つでできたアメーバの体を描いた、古い生物学の本の図です。今回のアメーバとは別の種です。図の n の印が核で、真核生物の細胞はこうした小部屋を中に持っています。細胞1つでできたアメーバの体を描いた、古い生物学の本の図です。今回のアメーバとは別の種です。図の n の印が核で、真核生物の細胞はこうした小部屋を中に持っています。Credit: Edmund Beecher Wilson (1856–1939) / Wikimedia Commons(Public domain)

実は、真核生物がなぜ熱に弱いのかは、はっきり分かっていません。

理由の候補の1つは、細胞の中に、膜で包まれた小部屋がいくつもあることです。

大きな遺伝情報を保つ複雑な仕組みや、細胞を動かすタンパク質の網(細胞骨格)も、熱には不利ではないかと考えられてきました。

記録の上では、カビやキノコの仲間(菌類)が60℃で観察された例がありました。

これをもとに、真核生物は62℃を超えると生きられないだろうという説まで出ていたのです。

研究チームが目を付けたのは、ラッセン火山国立公園を流れるホットスプリングス・クリークの支流です。

湯の温度は49〜65℃で、酸性の湯が多いこの地域では珍しく、中性に近い水が流れています。

チームは3年間にわたり、この支流の20か所で、水や泥、表面のぬめりを採りました。

研究チームのアンジェラ・オリヴェリオさんとベリル・ラパポートさんです(カリフォルニア州北部、ラッセン火山国立公園の地熱地帯で)。2人は、この研究の論文を書いた研究者たちの一員です。研究チームのアンジェラ・オリヴェリオさんとベリル・ラパポートさんです(カリフォルニア州北部、ラッセン火山国立公園の地熱地帯で)。2人は、この研究の論文を書いた研究者たちの一員です。Credit: The Conversation(権利の根拠あり)

育て方の工夫は、採った試料に麦の粒を入れ、その場にいた細菌たちをまるごと増やしたことです。

細菌が増えればエサも増えるので、細菌を食べるアメーバも一緒に増えてくるという仕組みです。

その結果、20か所のうち14か所の試料から、このアメーバが見つかりました。

このアメーバの名前は、インセンディアメーバ・カスカデンシス(Incendiamoeba cascadensis)です。

属の名前はラテン語の「火をつける」に由来する「火のアメーバ」という意味で、種の名前は見つかった場所のカスケード山脈にちなみます。

麦の粒で細菌ごと増やすこの工夫によって、熱い小川のアメーバを研究室で育てられるようになったのです。

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