60年追い求められた「幻の分子」、安定した形での取り出しに成功

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ホウ素は「三重のつながり」が苦手

ホウ素の結晶のかたまりです(重さは合わせて25.5グラム)。オキソボランで酸素と三重につながっているのは、この元素です。ホウ素の結晶のかたまりです(重さは合わせて25.5グラム)。オキソボランで酸素と三重につながっているのは、この元素です。Credit: James L Marshall / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

ホウ素という元素は、そもそも三重結合を作るのを好みません。

ドイツのヴュルツブルク大学のホルガー・ブラウンシュバイク教授は、この難しさに挑んできました。

ホウ素を含む三重結合の分子作りに取り組んで、もう15年以上になります。

チームは2012年、ホウ素どうしが三重結合でつながった分子を、初めて報告しました。

2025年には、ホウ素と炭素が三重結合でつながった、電気的に中性の分子も初めて報告しています。

大学の発表によると、ホウ素が、周期表のpブロックと呼ばれる元素のまとまりの最初の行の元素と作る三重結合のうち、残っていた課題は有機オキソボラン(ホウ素と酸素の三重結合を持つ化合物)ただ1つでした。

ドイツのヴュルツブルク大学のキャンパスの小道です。ホウ素を含む三重結合の分子作りに取り組んできたブラウンシュバイク教授は、この大学の化学者です。ドイツのヴュルツブルク大学のキャンパスの小道です。ホウ素を含む三重結合の分子作りに取り組んできたブラウンシュバイク教授は、この大学の化学者です。Credit: Daderot / Wikimedia Commons(CC0)

オキソボランは、数十年にわたって、世界の無機化学者や有機化学者が狙ってきた的です。

気体の状態や、とても冷やした固体の中に閉じ込めた状態なら、とらえることはできました。

反応の途中でできたことを示す証拠や、三重結合を少し弱めた仲間の分子も作られています。

たとえば、別の分子を寄り添わせて支えた分子です。また、白金とつないで安定させた分子も作られ、こちらは計算から三重結合を持つとみられていました。

しかし、支えのない素のオキソボランを、液体や固体の中で見つけたり取り出したりするのは難しいままでした。

ブラウンシュバイク教授は「分野のほぼ全員が、オキソボランをあきらめていました」と話します。

不安定すぎて取り出せない、と考えられていたからです。

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