
ホワイトハウス行政管理予算局長ラッセル・ヴォート氏が、2026年6月24日、ワシントンD.C.の米国海軍記念碑で開催されたワシントン・タイムズ紙主催の脅威状況に関するイベントで、同紙の国家安全保障担当編集者ガイ・テイラー氏と会談した。写真提供:エレノア・カウフマン(ワシントン・タイムズ特別寄稿)。
By Mike Glenn, Ben Wolfgang and Guy Taylor – The Washington Times – Wednesday, June 24, 2026
トランプ政権は、「官僚主義をブルドーザーで押しつぶし」、米国の商船・艦艇建造能力を大幅に増強して中国に後れを取った現状を逆転させる方針だ。ホワイトハウス行政管理予算局(OMB)のラッセル・ボート長官が明らかにした。
ボート氏は13日、ワシントン・タイムズ主催の安全保障フォーラム「スレット・ステータス」で、「過去数十年間にわたり船舶建造を停滞させてきた硬直的なやり方を改め、レーガン政権下の1980年代に見られた建造ペースを取り戻さなければならない」と述べた。
会合にはボート氏のほか、連邦上院議員や国防総省高官らが参加し、トランプ大統領が掲げる「ゴールデンフリート(黄金艦隊)」構想について議論した。これは米国の造船能力と海軍戦力を近代化し、拡大する意欲的な計画だ。
議会では2027会計年度の1兆5000億ドル規模の国防予算案が審議されている。ボート氏は、政権がOMB内に新たな造船担当部署を設置し、2025年4月に署名された大統領令「米国の海洋覇権の回復」の実施への関与を強化したと説明した。
この日の会合「インドパック2026 海軍優勢-造船、自律システム、指揮統制」では、ゴールデンフリート構想と米海軍力の将来が主要テーマとなった。
パデュー大学が教育パートナーを務め、防衛企業のゴビニ、ハンファ・ディフェンスUSA、レオナルドDRS、L3ハリス・テクノロジーズ、ロッキード・マーティンが協賛した。人工知能(AI)を活用したデータ分析企業オブビアントが予算分析を担当し、造船、自律システム、指揮統制分野の今後の支出見通しを示した。
講演者には、海軍省のロボット・自律システム調達責任者レベッカ・ガスラー氏、海軍省最高技術責任者ジャスティン・ファネリ氏、共和党のトッド・ヤング上院議員、海軍研究所司令官ランディ・クルーズ大佐、防衛大手企業の幹部らが名を連ねた。
■米造船業の立て直し
シンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)の上級研究員で元海軍少将のマーク・モンゴメリー氏は、米造船業界は人材不足や調達システムの問題に加え、「正しいことをするより何もしない方を選ぶ人々」によって苦しめられていると指摘した。
同氏は討論会で、沿海域戦闘艦(LCS)、ズムウォルト級ステルス駆逐艦、コンステレーション級フリゲートの3計画を例に挙げた。
「これは『失敗、失敗、失敗』だ。艦そのものが悪いわけではなく、与えられた任務を遂行できないという意味でもない。問題は予算を大幅に超過していることだ」
近年、中国海軍は艦艇総数で米国を上回っている。中国が約370隻を保有しているのに対し、米国は約295隻とされる。ただし、遠距離への戦力投射能力では依然として米国が優位に立っている。
それでも艦艇数の差は深刻な問題とされている。この差を縮めるため、トランプ政権は2027年度予算で海軍艦艇の造船・改修費として658億ドルを要求している。オブビアントの分析によると、海軍の年間造船予算は今後5年間のうち4年間で600億ドルを超える見通しだ。
2031年までの最大支出項目はバージニア級原子力潜水艦とコロンビア級戦略原潜で、それぞれ660億ドル、640億ドルが見込まれている。このほか、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦、空母更新計画などにも巨額の予算が充てられる。
しかし、中国に追い付けるだけの造船能力を構築できるのかというと疑問も残る。
共和党のデブ・フィッシャー上院議員は基調講演で、「艦艇や潜水艦への需要は建造能力を上回っている。一方、中国の造船能力はトン数ベースで米国の約230倍だ」と指摘した。
上院軍事委員会に所属するフィッシャー氏は、空母や潜水艦など原子力艦艇を維持するため、新たな造船所を建設すべきだと訴えた。
■OMB「官僚主義を押しつぶす」
ボート氏はトランプ第1次政権、第2次政権の双方で同じポストに就いた唯一の現職閣僚で、「大統領の道具箱」とも呼ばれる存在だ。
同氏は、OMBは「官僚主義をブルドーザーで押しつぶし、特定の政策目標の達成に向けてホワイトハウスと大統領の力を集中させる」と強調、第2次トランプ政権の1年半にわたってその勢いは強まってきたと述べた
「今回はこれまでと違って大統領と政権が、OMB内に独立した管理部門のような造船局を設置した。これは海洋覇権と造船を国家的最重要課題として位置付けていることを示す。商船でも軍艦でも、米国内で十分な造船能力を維持するため政府全体の資源を活用する」
「OMBは造船局を拡充しており、その結果、国防総省や他の政府事業以上に造船分野に深く関与している
■自律システムに焦点
第31代海軍作戦部長を務めたジョン・リチャードソン元海軍大将は、中国が次の大戦の在り方を見据えた大規模投資を進めていると指摘した。その戦略によって中国は、長距離精密攻撃能力を軸に、米海軍を遠ざけ、西太平洋での米軍の戦力投射能力を弱めることを狙っている。
リチャードソン氏は「中国の投資は現実的であり、真剣な警戒が必要だ。だが、それらは硬直的で、柔軟性を欠く」と語った。
また同氏は、中国は自律システムやAI搭載センサーの融合といった変化の著しい新技術を十分活用できていないと指摘した。
米政策担当者らは、大量の航空・水上・水中ドローンの生産と配備を含め、自律システム分野で米国が主導権を握ることが不可欠だと強調した。
元陸軍特殊部隊将校で下院軍事委員会所属の共和党若手有力下院議員パット・ハリガン氏は、パネルディスカッション「自律性-インド太平洋の戦いに向けた無人システムの規模拡大」で、「将来の戦争は、自律システムを持つ側と持たない側で勝敗が分かれることは間違いない」と述べた。
同時に同氏は、米国が国家安全保障上の極めて重大な岐路に立たされており、海外の紛争に米国が深く介入することを国民がどれだけ受け入れるかを測る機会ともなっていると言う。
ハリガン氏は、現在も続くロシアによるウクライナ侵攻や、最近の中東での武力衝突によって、米国民が「終わりの見えない戦争」に巻き込まれることを強く警戒していることが明らかになったと指摘した。
また、「短期間で終わる可能性のある戦争ですら」米国の政治的意思が問われると指摘、「今まさにそのような事態にあるのだと思う」と語った。
その上で、荒れた世界の中では、新技術を取り入れて軍をより機動的かつ柔軟にすることが重要になると強調した。
「今行っていることのすべてを根本的に正さなければ、これまで経験してきた軍事的失敗を繰り返すだけだ」と警告した。
政府予算案では、水上ドローンなど無人海洋システムへの予算が急増している。
国防総省は、大量のドローンの開発、配備を統括する「国防自律戦闘グループ」に546億ドルを要求している。
2027年度予算案では無人航空機や無人車両への予算も大幅に増額されるが、最も高い伸び率を示しているのは中型無人水上艇と、魚雷発射管から投入・回収する海軍の遠隔操作型無人艇などだ。
オブビアントの分析によると、これら2事業の予算はそれぞれ584%増の2億7000万ドル、183%増の7600万ドルとなる見込みだ。海軍は2030年までに30隻以上の中型無人水上艇と数千隻の小型無人水上艇をインド太平洋地域へ配備する計画である。
これらの無人機・艇は、米インド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官(大将)が提唱する「ヘルスケープ(地獄絵図)」構想の中核を担う。同構想は、大量の航空・海上ドローンを展開して戦域を埋め尽くし、中国による台湾侵攻を遅らせ、阻止することを狙っている。

3 時間前
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