誰にも読めない文字で埋まった240ページ
青い花と赤い花のような植物が大きく描かれたページです。Credit: Unknown authorUnknown author / Wikimedia Commons(Public domain)ヴォイニッチ手稿は、羊皮紙(動物の皮を薄くした紙)を綴じた中世の本です。
材料の羊皮紙は、年代測定で15世紀初めのものとされています。
全240ページには、ほかに例のない「ヴォイニッチ文字」が約3万8000語分も並んでいます。
そのあいだには、人物や植物、占星術の記号などの絵がたくさん描かれています。
もとは神聖ローマ皇帝の持ち物で、1912年にウィルフリッド・ヴォイニッチが買い取りました。
1969年からは、米イェール大学の貴重書図書館に収められています。
イェール大学のバイネキ貴重書図書館の中を写した写真です(米コネチカット州ニューヘイブン)。手稿は1969年から、この図書館に収められています。Credit: Michael Kastelic / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)研究に加わった米国中世アカデミーのリサ・ファギン・デイヴィス氏は、「暗号なのかどうかも分からない」と話します。
そのうえで同氏は、この手稿には物としてのつくりに奇妙な特徴があると指摘します。
それを知るには、まず中世の本の作り方を押さえておく必要があります。
当時の本は、長方形の羊皮紙を半分に折った紙(二つ折り紙葉)を単位にしていました。
この二つ折りの紙をふつうは5枚ほど入れ子に重ね、ひとまとまり(折丁)にします。
その折丁を積み重ねて背で縫い合わせると、1冊の本になります。
ヴォイニッチ手稿を、本の上の側から写した写真です。一般に、本を立てて上から背の側を見ると二つ折りの紙を重ねた束がいくつも並んでいて、その束の一つ一つが折丁です。Credit: 作者不明 / Wikimedia Commons(Public domain)入れ子にするため、真ん中の1枚を除けば、1枚の紙の左半分と右半分は本の中では離れたページになります。
また、文字や絵は、紙を入れ子に重ねてから書き入れるのがふつうだと考えられています。
デイヴィス氏は手稿の書き手の人数を調べるうちに、筆跡の入れ替わり方が不自然なことに気づきました。
さらに、絵がページの途中で途切れ、何枚もページを挟んだ先で続きが現れる例もいくつかあったのです。






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