両眼視野闘争を説明するために描かれた図の1枚です。ふだん左右の目はほとんど同じものを見ていますが、別々の絵を見せると、片方が意識から消えます。Credit: Rajiv Madipakkam A, Ludwig K, Rothkirch M and Hesselmann G / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)意識の正体を探す研究が抱えていた謎
皿にのせた人の脳の模型の写真です(今回の研究のものではありません)。 / Credit: Photo by Amel Uzunovic on Pexels(Pexels のライセンス)何かが「見えた」とき、脳のどこで何が起きているのかは、今もはっきり分かっていません。
見えていることに対応する脳の活動は「意識の神経相関」と呼ばれ、多くの研究者が探してきました。
その手がかりになるのが、目に入る映像は同じまま、見えるか見えないかだけを分ける実験です。
今回使われたのは、まず1枚の顔だけを見せ、続けて左右の目に別の顔が映る状態にする方法(両眼フラッシュ抑制)です。
2枚の顔はずっと目に映っているのに、意識に上るのはそのうち片方だけになります。
研究チームが14人の人で試すと、ほとんどの人が、あとから出した顔が見えたと答え、先に見せていた顔は意識から消えていました。
論文の図1の一部です。左から、色の違うめがねで画面の顔を見るサル、電極を差し込む装置、記録した場所(ML・AMは下側頭皮質の顔の領域、PO・PVLは前頭前野)を描いています。Credit: Hesse et al., bioRxiv (Cold Spring Harbor Laboratory) (2026)(CC BY 4.0、図1の一部を切り出し)ところが、これまでの研究では、すっきりしない結果が続いていました。
形を見分ける脳の高い段階でも、見えているかどうかで、活動はわずかしか変わらなかったのです。
見えている像だけに反応する「純粋な信号」は、脳のどこからも見つかっていませんでした。
そこで研究チームは、多くの神経細胞の活動を同時に記録できる電極(ニューロピクセルス)を使いました。
記録したのは、側頭葉(大脳の側面にある部分)の下側にある下側頭皮質(かそくとうひしつ)と、前頭前野です。
人の脳の左半分で、前頭前野(赤)がおでこの奥にあることを示した図です。研究チームは、サルの脳でも前頭前野で記録しました。Credit: Polygon data were generated by Database Center for Life Science(DBCLS)[2]. / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.1 jp)どちらでも、顔を見たときに強く働く小さな領域(フェイスパッチ)を複数ねらいました。
まず下側頭皮質を調べると、ここでも同じ謎が現れました。
2つの顔を1枚ずつ見せたときには、2つの顔にはっきり違う反応を示す細胞がありました。
ところが同じ2枚を左右の目に分けて映すと、そうした細胞のほぼすべてで、反応の差がずっと小さくなったのです。
片方の顔ははっきり見え、もう片方は見えていないのに、細胞の反応は2つをあまり区別していませんでした。






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