米国転覆狙い共産主義を推進するキューバ 米国務省が警告

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2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

By Bill Gertz and Kerry Picket – The Washington Times – Tuesday, July 21, 2026

 キューバ共産党政権は、スパイ活動や過激派・左派勢力への支援を通じ、米国内で長年にわたり転覆工作を続けてきた――。米国務省はこうした内容をまとめた報告書を公表した。支援対象には、黒ずくめの極左集団「アンティファ」や、ジョージ・フロイド氏死亡事件後に発生した暴動の組織者らも含まれるという。

 100ページに及ぶ報告書は、「キューバ政権は約70年にわたり、米国に対する持続的な転覆工作を展開してきた」と指摘した。

 さらに、キューバ情報機関は「米政府中枢にまで浸透し、世代を超えて米国人活動家を勧誘、育成し、米国内で前例のない左翼テロの波を支援したほか、米国史上で特に長期的かつ深刻な外国情報機関による浸透工作を実行した」としている。

 機密情報と公開情報を基に作成された報告書によると、現在もキューバ工作員は何百ものフロント組織、活動家組織、親キューバ共同体、思想的な非政府組織(NGO)や非営利団体(NPO)のネットワークに入り込んでいる。

 報告書は、「これらのグループが一つになって、敵対的な外国が影響工作を行ってきた。現代の米国史の中でも単一のルートとしては最大規模で特に巧妙な集団だ」と警告した。

 また、キューバ情報機関は現在も「身元が特定されていない数十人規模の工作員」を米政府内部に潜伏させているとしている。

 「キューバ、21世紀共産主義の首都」と題する報告書は、キューバが数十年にわたり米国の転覆工作を進めてきた実態を詳述し、キューバ政府と米国の左派団体や歴史上の左派活動家との関係を分析している。

 報告書によると、キューバは近年の米国政治を揺るがした多くの出来事にも影響を及ぼしてきた。2020年のジョージ・フロイド氏事件後の暴動やアンティファによる暴力行為、さらには「大学のキャンパスでのテロ擁護活動の拡大」もその例として挙げている。

 さらに、「これらのスパイ工作は、キューバが新たな協力関係を築いたことによってさらに危険性を増している。キューバ島内には、外国の軍事施設、情報収集施設、テロ組織の施設が増え続けており、米国の国土安全保障に対して特異な脅威をもたらしている」と指摘した。

 一方で、「キューバ国民自身は飢餓と停電の中で苦しみ、支配的な体制の下で奴隷のような生活を強いられ、自国政府の人質となっている」と訴えている。

 報告書は、キューバによる反米攻勢は経済政策や主権、領土を巡る争いではなく、「米国内部から米国を崩壊させようとする攻撃」であり、米国民自身を国家崩壊の道具へ変えようとするものだと結論付けている。

 さらに、「(キューバの)影響力は、常にイデオロギー的、体制転覆的、かつ寄生的」であり、最大の後ろ盾だったソ連崩壊後も生き延びたと分析した。

 現在では、「ロシア、中国、イランの野望と米国内の急進運動を結び付ける反米連合の接着剤となっている」としている。

 この報告書は21日に公表され、キューバの共産党政権に対するトランプ政権の圧力強化策の一環とみられる。

 トランプ大統領とキューバ系米国人のルビオ国務長官はいずれも、キューバの共産主義体制は破綻しており、非共産主義政権に交代すべきとの立場を示している。

 トランプ氏は3月、「キューバの現体制は近いうちに崩壊する」と予測した。

 また、司法省がキューバの元指導者ラウル・カストロ氏を刑事訴追すると、政権打倒のための軍事介入の可能性にも言及した。

 ルビオ氏も3月、「キューバには新しい指導者が必要だ」と述べ、「無能な共産主義者ら」と批判した。

 報告書は、米国を標的とした大規模な公然・非公然の情報工作、影響工作へのキューバ政権の関与を明確に非難した。このような形で米政府がキューバを名指しで批判するのは、ここ数十年で初めてのことだ。

 報告書は、キューバがいかに「長年にわたる消耗戦」を仕掛けてきたかを、スパイ活動や米組織への浸透、代理勢力や「米国を内側から崩壊させる革命インフラ」の活用などを挙げながら詳しく分析している。

 キューバのスパイ活動は成功を収めてきた。1987年には情報機関高官だったフロレンティーノ・アスピリャガ少佐が亡命し、「1961年のピッグス湾事件以降、CIA(米中央情報局)がキューバ国内で獲得したスパイは事実上すべてキューバの二重スパイだった」と証言したという。

 その結果、キューバ政府は20年以上にわたり、CIAへ偽情報を流し続けたとしている。 また、キューバは爆破事件や武装強盗、殺人事件で訴追された米国人テロリストの避難先となったほか、ソ連・ロシアの電子情報収集、中国による通信傍受活動の拠点にもなってきたという。

 報告書は、キューバ工作員が国務省やホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)、国防総省など米政府中枢にも長年潜入していたと指摘している。

 キューバ情報総局(DI)が60年以上にわたって米政府に仕掛けてきたスパイ活動は特に大きな成功を収めたとされ、元CIA防諜部長ジェームズ・オルソン氏は、その能力は旧ソ連国家保安委員会(KGB)を上回ると評価している。

 この間、DIは大学への浸透や米国内での革命運動の組織化、南イエメンでのパレスチナ人テロリスト訓練など、多岐にわたる活動を主導したという。

 中でも最も成功し、継続されたのは、米国に対する思想工作だったと報告書は分析している。

 キューバが思想面で支援した団体には、1960年代のブラックパンサー党や過激派組織「ウェザーアンダーグラウンド」、近年では反ファシズムを掲げる共産主義系団体アンティファなどが含まれる。

 現在もキューバ政府工作員は、左派系NPOや反移民税関捜査局(ICE)団体、社会主義組織、マルクス主義過激派などのネットワークと結び付いているという。

 報告書は、キューバ共産主義は「西側植民地主義からグローバルサウスを解放する」という思想に基づいて活動していると分析した。

 「キューバ人にとって、その目標を達成する唯一の道は『ヤンキー帝国主義体制の破壊』だった」とし、「カストロの思想は現在、西側内外の左派勢力において覇権的地位に近い影響力を持っている」と指摘した。

 この情報・影響力ネットワークの中核組織が「キューバ諸国民友好協会(ICAP)」だという。

 ICAPは、ニューヨーク市長にゾーラン・マムダニ氏を送り出した政治団体、米民主社会主義者(DSA)とも連携してきた。

 報告書はDSAを、キューバの「フロント組織と協力者」に関するセクションで、キューバの転覆工作を支援してきた組織の1つと指摘している。

 報告書は、「米民主社会主義者(DSA)は、キューバが第三世界急進主義の精神的中心地としての地位を確立しようとしてきた取り組みが、イデオロギー面で勝利を収めたことを示す極めて象徴的な例だ」と指摘した。

 さらに、「DSAはキューバ情報機関のフロント組織や影響工作組織として設立されたわけではない。1982年、米国共産党(CPUSA)や『民主社会を目指す学生同盟(SDS)』の元メンバーらを含む『オールドレフト(旧左派)』と『ニューレフト(新左派)』の社会主義組織・運動が統合して誕生した」と説明した。

 現在のDSAは、「キューバ政権の大義に対し、ほとんど宗教的とも言える強固な忠誠心を維持しており」、それは「米国極左勢力の正統思想」の一部になっていると報告書は指摘している。

 また、キューバは近年の「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事、BLM)」運動を支援し、2020年夏のジョージ・フロイド氏死亡事件を受けた暴動も後押ししたとしている。

 DIの活動を追跡してきた米情報機関の複数の元高官も、DIが現在も米国にもたらしている脅威について警鐘を鳴らしている。

 2001年に逮捕され、2023年に釈放された国防情報局(DIA)の元上級分析官アナ・ベレン・モンテス元受刑者のスパイ活動摘発に関わり、国防総省のキューバ情報機関専門家だったクリス・シモンズ氏は、2009年のマイアミ・ヘラルド紙とのインタビューで、ハバナは現在も米国内に約250人の工作員とその運営要員を維持していると推測している。

 シモンズ氏は、過去のキューバ情報機関の「戦術・技法・手順(TTP)」に基づけば、この約250人の中には、モンテス元受刑者と同程度の地位にある米政府内の上級工作員が6~9人、学界に12人超、さらにワシントンとニューヨークのキューバ公館で外交官の身分を利用して活動する30~36人が含まれると分析した。さらに約135人は、主に南フロリダのキューバ系米国人社会の監視を任務にしているという。

 報告書はまた、1969年以来約1万人の米国人活動家をキューバへ送り込んできた「ベンセレモス旅団」についても分析している。同旅団は宣伝活動と情報収集の手段として機能し、その創設世代が米国内の過激派組織「ウェザーアンダーグラウンド」の結成に関わったと指摘。米連邦捜査局(FBI)の報告として、キューバ当局者らがウェザーアンダーグラウンドのメンバーの逃亡を支援したとする内容も紹介している。

 報告書によると、同旅団のメンバーの多くはその後、米国の政界や社会で重要な地位に就いた。その中には、1970年代に同旅団の活動を組織し、2016年のキューバの指導者フィデル・カストロ氏の死去に際して公に哀悼の意を表したロサンゼルスのカレン・バス市長も含まれている。

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