米中会談、台湾を交渉材料と見るトランプ氏に専門家懸念 武器供与はG20後か

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トランプ大統領(中央右)が中国の習近平国家主席と握手を交わす。メラニア・トランプ夫人(右)と彭麗媛夫人(左)が見守る中、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館に到着した。(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

トランプ大統領(中央右)が中国の習近平国家主席と握手を交わす。メラニア・トランプ夫人(右)と彭麗媛夫人(左)が見守る中、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館に到着した。(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Monday, October 5, 2026

 【ソウル】トランプ大統領は9月にワシントンで行われた中国の習近平国家主席との首脳会談で、台湾をめぐり中国側に譲歩しなかったとして、インド太平洋地域で一定の評価を得た。台湾の独立について譲歩せず、武器売却の方針も後退させなかったためだ。

 しかし、トランプ氏が中国との一進一退の交渉で、台湾を依然として「交渉材料」と見ているとの認識が地域に広がり、懸念が生じている。

 米シンクタンク、アジア・ソサエティー政策研究所は首脳会談後の分析で、「台湾にとって重要なのは、単に一つの武器供与案件が承認されるかどうかではない。より重要なのは、台湾の安全保障が、より広範な米中関係の中で、急速に交渉の変数になりつつあるのかどうかだ」と指摘した。

 中国の脅威に警鐘を鳴らしてきた人々にとって、トランプ氏が習氏との会談で台湾をめぐる立場を維持しただけでは不十分だった。攻撃性を増す中国政府に対抗する重要な機会を逃したとの見方も示された。

 米シンクタンク、アメリカ進歩センター(CAP)は報告書で「ホワイトハウスが公表した首脳会談概要には、台湾への言及が全くなかった。台湾だけでなく、米国の条約同盟国である日本やフィリピンに対する中国の危険な威圧行為についても言及がなかった」と指摘した。

 一方、トランプ氏がワシントンでの華やかな式典や演出を駆使したことは、同氏が習氏を多くの観測筋が考える以上に理解していることを示すとの見方もある。

 シンガポールの南洋理工大学S・ラジャラトナム国際研究学院の上級研究員、ドリュー・トンプソン氏は「明らかにイメージ戦略だ。トランプ大統領が習氏が望んだ通り、政治的舞台を用意し、表面的だが敬意を払った。そういうことだと思う。習氏にとって重要なのは、これが政治的な強みになるということだ。党内の同僚や将来の競争相手に、自分が対等に扱われていることを示せるからだ」と述べた。

 ただ、国防総省で中国、台湾、モンゴルを担当する部門の元責任者でもあるトンプソン氏は、台湾は「かなりうまく立ち回った」とみている。

 「中国側は事前に、習氏がどれだけ強く迫るかについて多くのメッセージを発していた。これは過去の会談でもそうだった。中国はあらゆる会談で、あらゆるレベルにおいて台湾を持ち出す。トランプ氏は毅然とした姿勢を保ち、譲歩せず、軽率な発言もしなかった」と同氏は述べた。

 米ブルッキングス研究所外交政策プログラムのマイケル・オハンロン上級研究員兼研究部長も分析で同様の見方を示した。

 習氏がトランプ氏に台湾独立への反対姿勢を取るよう求めたとの報道についてオハンロン氏は「トランプ氏は拒否したようだ。習氏の要求を受け入れれば、米国による一方的な譲歩になった」と指摘している。

 台湾と中国にとって中心的な問題の一つが、台湾向けに凍結されている総額140億ドルの米国製武器供与だ。

 武器供与の遅れは、台湾の最大野党・国民党にとって、与党・民主進歩党に対する攻撃材料となっている。

 台北を拠点とする欧州価値安全保障政策センター台湾事務所のマルチン・イェジェフスキ所長は、「米国に対して国民党は懐疑的で、民進党は好意的だ。国民党は、米国が武器売却について約束を果たさなかったことを強調している。トランプ氏が5月の北京首脳会談で、武器売却は交渉材料だと述べて以来、台湾の当局者はこの問題を非常に注意深く見てきた」と指摘した。

 トンプソン氏は、トランプ氏が今後の会談に向けて交渉の余地を残しておきたいと考えているとの見方を示した。11月に中国の深センで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と、12月にマイアミで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議が終わった後、政権が武器売却を承認すると予想している。

 「G20とAPECが終われば、政権は議会に台湾への武器売却を正式に通知すると予想している。トランプ氏にはそうするよう議会から圧力がかかっているし、財政的なメリットもある。抑制的に行動しても習氏からは何も得られない。武器売却を行わない理由はない」

 イェジェフスキ氏も「この案件が実現しないのではないかと心配している人は、それほど多くない」と同様の見方を示した。

 ワシントン首脳会談直後には、デービッド・パデュー駐中国米大使が「FOXニュース・サンデー」で、トランプ氏は中国への武器売却を提案したと発言し、その後トランプ氏が否定したことで騒ぎが起きた。この発言について、トンプソン氏はさほど重視していない。

 「大使が言い間違えたことは明白だ。つい本音が出てしまったのだと思う。そういうことは起こりうる。非常に長いメディアとのインタビューで、短時間のコメントではないからだ」

 しかし、イェジェフスキ氏はトランプ氏の交渉スタイルに疑問を呈した。

 「米国の抑止力について疑問が生じる。台湾は、トランプ氏が米国のディスコースパワー(国際社会での発言力、中国語で「話語権」)をどのように行使するのかを懸念している」

 イェジェフスキ氏は、米国が第2次世界大戦で中国と共に戦った歴史をトランプ氏が軽々しく扱ったことを指摘した。確かに米国は当時、中国と同盟関係にあった。しかし、中国自体が分裂していた。米国の同盟国は蒋介石率いる国民党であり、毛沢東率いる共産党ではなかった。

 第2次大戦後、蒋介石率いる国民党は台湾に逃れて政府を樹立した。一方、北京にいる習氏は毛沢東から直接続く指導者の系譜にある。

 これは中国人と台湾人にとって、非常に大きな問題だ。

 イェジェフスキ氏は「『中国バブル』の人々の間で非常に流行している言葉に『ディスコースパワー』がある。これは議論の枠組みを設定し、ナラティブ(物語)をコントロールすることを指す中国の言葉だ。トランプ氏が中華民国と中華人民共和国に同じ意味を持たせたことは、中国がディスコースパワーを発揮した点で大きな勝利だったと思う」と述べた。

 この問題は「台北の一部で敏感な反応を引き起こした」と同氏は述べた。

 中国に強硬な姿勢を取り、台湾人としてのアイデンティティーを推進する民進党は、中国との同一性から距離を置こうとしてきた。そのため、今回の首脳会談は中国にとって「台湾を揺さぶる非常に効果的な手段」になったという。

 他の専門家も同意している。ブルッキングス研究所東アジア政策研究センターのミレヤ・ソリス所長は「今回の首脳会談は、無形の要素、つまりイメージ、物語、シグナルが大きな意味を持った。それによって米国のパートナー国や同盟国の立場は弱くなった」と書いている。

 武器供与をめぐる議論では、多くの分析が、中国人民解放軍(PLA)と直接戦闘する際のハードパワーの現実に焦点を当てている。

 規模も兵器の保有量も巨大なPLAだが、最後に実戦を経験したのは1988年の南沙諸島をめぐるベトナムとの海上衝突だった。一方、PLAはグレーゾーン戦やハイブリッド戦については豊富な経験を持つ。南シナ海での軍事衝突に至らない海洋活動から、中国語圏の情報空間での認知戦まで、幅広い領域で展開している。

 イェジェフスキ氏もこの点に注視している。

 「全面的な実力行使を伴う侵攻に備えるだけではいけない。そこに至るまでには多くの段階がある。認知戦について取り組むべきことは多い。だから私は、ソフトパワーの問題の方を懸念している」

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