米、中国のSLBM発射実験を「事前通報が不十分」と非難

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新華社通信が公開したこの写真には、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルが海面から飛び出す様子が写っている。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

新華社通信が公開したこの写真には、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルが海面から飛び出す様子が写っている。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, July 9, 2026

 米国務省は9日、中国が6日に南太平洋で実施した核搭載可能な弾道ミサイル発射実験について、事前通報が不十分だったとして中国を強く批判した。

 国務省当局者によると、中国は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験について、数時間前に米国へ通知したものの、実験内容の詳細は明らかにしなかった。

 同当局者はワシントン・タイムズへの声明で、「核搭載可能なミサイルを、通常の事前通報の手順を踏むことなく発射するのは無責任だ」と述べた。

 報道によると発射されたのは「巨浪2(JL2)」または新型の「巨浪3(JL3)」。中国沿岸から発射され、6400キロ以上飛行して南太平洋の海域に着弾した。

 同当局者は「中国から米国への通知は発射のわずか数時間前で、十分な詳細も示されなかった。他のP5核保有国が採用している基準を大きく下回るものだった」と述べた。P5とは、米国、フランス、ロシア、英国、中国の国連安全保障理事会常任理事国5カ国を指す。

 今回の発射は、米領グアム付近を飛行したことから、日本、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、韓国など地域各国が懸念や批判を表明した。

 同当局者は「中国は急速に核戦力を増強し、透明性も確保されていない。今回の実験は、地域にとって重大な懸念事項だ」と指摘した。

 その上で「米国は中国に対し、戦略的安定と軍備管理について実質的な協議に応じるよう求める」と述べ、「同盟国、パートナー国への防衛上の責務を果たす米国の決意が揺らぐことはない」と強調した。

 一方、北京で記者会見した中国外務省の毛寧報道官は、この実験は「通常のものであり」、兵器の信頼性、安全性、有効性を検証するための年次軍事訓練の一環だと説明した。

 毛氏は「今回の活動は国際法および国際慣行に合致しており、特定の国や対象を念頭に置いたものではない」と述べた。

 さらに、中国は関連する情報を「適時」に公表し、米国など各国にも事前通知しており、そのこと自体が中国の「開放性と透明性」を示していると主張した。

 また、米国の批判については「典型的なダブルスタンダードであり、覇権主義の表れだ」と反論した。

 毛氏は「米国は中国の国防・軍事力の発展を客観的かつ理性的に受け止め、世界の戦略的安定維持に真摯(しんし)に取り組むべきだ」と述べた。

 これに対し国務省当局者は、通告から発射まで短時間だったが、米国は南太平洋に着弾したミサイルを監視していたと明らかにした。

 軍事アナリストらは、発射までの時間が短かったことについて、中国共産党が核戦力に関する情報の流出を極度に恐れていることを反映していると指摘する。

 10年以上前に流出した米国務省文書では、中国当局者が「戦略核戦力に関する情報を米国へ提供すれば、抑止力が損なわれる」と考えていることが明らかになっている。

 米国とロシアは、ミサイルや核実験について長年にわたり十分な事前通告の時間を確保してきた。

 こうした事前通告により、双方は航空機や艦艇を派遣して実験を監視し、相手国の核戦力に関する貴重な情報を収集することが可能になる。この慣行は戦略的安定の維持に資すると米露両国は説明してきた。

 今回の中国の実験でも、早い段階で通告があれば、米国はミサイルに関する情報収集にさらに多くの時間を確保できた可能性がある。

 米軍は外国のミサイル監視のため、「戦略偵察作戦」と「国防特別ミサイル・宇宙センター」の2組織を運用している。

 これらの組織は通常、航行警報や航空情報で試験区域が設定されると、情報収集艦を現場海域へ派遣する。

 6月下旬には、米海軍のミサイル追跡艦「ハワード・O・ローレンツェン」が中国沿岸の黄海で活動していることが、ニューズウィークが報じた船舶追跡データで確認された。

 また、海洋監視艦「ビクトリアス」も6月上旬まで南シナ海で活動していた。

 台湾の国家安全保障当局者は今週、中国沿岸の香港北方から発射されたSLBMの飛行経路を示す地図を公表した。

 弾道ミサイル実験で電子情報や画像を収集する米空軍の偵察機RC135Sコブラボールも、6月24日に黄海で飛行していたことが、公開されている飛行追跡情報で確認されている。

 黄海で活動していたこれらの米軍部隊は、北朝鮮が繰り返し実施するミサイル発射の監視を主目的としていた可能性が高い。

 一方、南シナ海に展開していた監視艦は、中国のミサイルが飛行中に発する各種信号を傍受できた可能性がある。

 米軍が中国軍のミサイルについて収集を目指す情報には、模擬弾頭の形状、耐熱性能、再突入速度などが含まれる。

 中国が今回のように外洋へ向けてミサイル発射実験を行うのはまれであり、元軍当局者は「今回の短時間通告は、ミサイルの性能を米国に知られないようにするための中国の意図を反映したものである可能性が高い」と指摘した。

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