火星では筋肉が弱くなる?「軽い重力」がもたらす異変
人間の体の中で、もっとも重力の影響を受ける組織のひとつが「骨格筋」です。
骨格筋は体重の40%以上を占め、歩く・立つといった基本的な動作だけでなく、代謝の維持にも重要な役割を担っています。
この骨格筋は、重力が弱くなると急速に衰えることが知られています。
宇宙飛行士が無重力環境で筋力低下を起こすのはよく知られた現象です。
しかし問題は、火星のような「中途半端な重力」でも同じことが起きるのかどうかでした。
この疑問に答えるため、筑波大学などの研究チームは、国際宇宙ステーションの「きぼう」実験棟でマウスを使った実験を行いました。
マウスは28日間にわたり、微小重力、0.33G(火星の環境に近い、Gは重力加速度)、0.67G(火星と地球の中間)、1G(地球環境と同じ)という異なる重力環境で飼育されました。
その結果、興味深い事実が明らかになります。
火星に近い0.33Gでは、筋肉の量そのものはある程度保たれるものの、筋力や機能は低下していたのです。
つまり、見た目の筋肉はあっても、「力が弱くなる」という状態が起きていました。
さらに筋肉の性質も変化していました。
本来、長時間の活動を支える持久力型の筋肉(遅筋)が減り、瞬発力型の筋肉(速筋)が増える傾向が見られたのです。
これは、長く動き続ける能力が低下することを意味します。









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