『建築は不純につくられる 中国・習近平時代の建築とモニュメント』(岩波書店) - 著者: 市川 紘司 - 橋爪 大三郎による書評

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建築は不純につくられる 中国・習近平時代の建築とモニュメント
『建築は不純につくられる 中国・習近平時代の建築とモニュメント』(岩波書店)著者:市川 紘司

タワマン乱造で売れ残ればゴーストタウン(鬼城)。そんなイメージをよそに躍進を続けるのが中国建築界だ。その最新動向を紹介する。

著者は2010年代に清華大学建築学院に留学し、肌感覚の中国事情に通じている。建築史が専門だ。

山村の古民家をそっくり民宿・店舗や図書室に再生する張雷。一村一品の特産品工場を設計し、観光スポットにも活用する徐甜甜。農村住宅を改修・保存する王澍。都会を離れ農村部に向かう建築家たちがいる。都市部では、建築学院で同窓の青山周平が胡同(フートン)「雑院」のリノベに取り組みテレビ番組で注目された。

こうした人間サイズの動きがあるいっぽう、都市の集合住宅は塀で囲まれた「単位大院」で画一的。コロナ禍では居民委員会が出入り口を閉じ住民の移動を制限した。独特の構造が共産党組織と連動している。

中国の建築家はずっと、国営系の設計院に属してきた。90年代以降ポスト文革世代の建築家が、独立して活躍し始めた。そんな才能ある人びとがどんな仕事をしたか、記念館やモニュメントを中心に丁寧に紹介していく。日本とは違った発展をたどった建築大国中国の肖像画だ。
【初出メディア】
毎日新聞 2026年9月19日
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