これまで「最古のキス」とされてきた記録
紀元前2041年ごろのシュメールの楔形文字の粘土板で、シュメールの王の宴に家畜を納めたことを示す受け取りの記録です(オレゴン州立大学の所蔵)。メソポタミアに残る楔形文字の記録が、キスの記録の歴史をさかのぼる手がかりになりました。Credit: Oregon State University / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)キスの最古の記録として、研究者たちはこれまで、南アジアのある文書をよく挙げてきました。
暫定的に紀元前1500年ごろのものとされる、およそ3500年前の文書です。
ところが2023年、この見方を揺さぶる論文が出ます。
書いたのは、コペンハーゲン大学のトロエルス・パンク・アーボル氏と、生物学者のソフィー・ルン・ラスムセン氏です。
アーボル氏はアッシリア学者で、メソポタミアの古い記録を読み解いてきました。
2人は、メソポタミアの記録を使えば、キスの記録の歴史をおよそ1000年さかのぼれると示しました。
その後の研究で、さらに古い文章も見つかっています。
今回アーボル氏は、それらを含む古代の記録を集め直し、キスの始まりを見直しました。
シュメールの都市ウンマ(いまのイラク)で見つかった粘土板で、表と裏に、使者にかかわる支給品の記録が刻まれています。アーボル氏も、こうした楔形文字の文章を、出版されている翻訳をもとに読み直しています。Credit: Invisible Fig / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)対象は、紀元前3千年紀(紀元前3000〜前2001年)の半ばから紀元前1千年紀(紀元前1000〜前1年)のはじめまでの、古代中東とその周りの地域です。
手がかりにしたのは、言葉、文章、絵、そして遺物という4種類の資料です。
楔形文字の文章は、すでに出版されている翻訳をもとに読み直しています。
アーボル氏が注目したのは、恋人どうしの「恋愛・性のキス」と、家族や友人の間の「親しみのキス」の2つです。
さらにアーボル氏は、ある問いにも踏み込みました。
恋愛のキスは、はじめは一部の上流の人々のふるまいだったのか、それとも広く日常にあったのか、という問いです。






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