「働かないオスバチ」は実は働きバチより頭が柔らかいと判明――なぜなのか?

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巣の中では「何もしない住人」のオスバチ

巣の中では「何もしない住人」のオスバチ巣の中では「何もしない住人」のオスバチ / Credit:Canva

「集団の中に、明らかに働いていないメンバーがいる」

職場や学校で、そう感じた経験がある方もいるのではないでしょうか?

マルハナバチの巣にも、まさにそんな存在がいます。

マルハナバチのコロニーには3種類の住人がいます。巣を作り卵を産む「女王バチ」、掃除から育児、蜜集め、巣の防衛まであらゆる仕事をこなす「働きバチ(ワーカー)」、そしてオスバチ(ドローン)です。

働きバチは全員メスです。花粉を脚に付けて巣に持ち帰るための「花粉かご」という特別な構造を持ち、コロニーの命綱として日々飛び回っています。

一方のオスバチは巣の掃除をしません。

幼虫にエサをあげることもしません。

巣の温度調節にも参加しません。

外敵が来ても戦いません。

そもそもマルハナバチのオスには針がないので、戦うための武器すら持っていないのです。

そして採餌は働きバチの代名詞とも言える花粉集めですが、オスバチはこれも構造的に不可能です。

彼らの脚には花粉かごがついていません。

花粉を運ぶ体のつくりをそもそも持たずに生まれてきているのです。

では蜜はどうしているかというと、働きバチが集めてきた蜜を巣の中で飲んでいます。

自分では集めず、姉妹たちが汗水たらして(ハチに汗腺はありませんが)運んできた蜜を、ただ消費しているわけです。

もう一つ注目すべきは、オスが居候している時期は、コロニーにとって資源需要が高まりやすいタイミングでもあるということです。

なぜなら、この時期にはオスだけでなく次世代の女王候補(体が大きく、育てるのにエネルギーがかかる)も同時に生産されているからです。

つまり働きバチたちは、巣の将来を背負う女王候補を育てながら、その横でオスたちにも蜜を分け与えている状態なのです。

まとめると、こうなります。

マルハナバチのオスは巣の中では食べるくらいしかしないマルハナバチのオスは巣の中では食べるくらいしかしない / Credit:Canva

人間社会に例えるなら、家計が一番苦しいときに家賃も食費も光熱費も全部きょうだいに払ってもらいながら、家事を一切せず、冷蔵庫の中身だけ消費している同居人――というところでしょうか。

しかも、この「居候生活」はそれなりに続きます。マルハナバチのオスは、コロニーがある程度成熟した夏の後半に生まれ、巣立ちまで一般に数日から2週間ほど巣の中で過ごすとされています。

その間ずっと、上の表の右側の状態です。

コロニー全体の寿命がだいたい数ヶ月ほどですから、この期間は決して短くありません。

では、なぜそんな怠け者が存在を許されているのか。

ここで注目すべきは、オスバチの巣立ちが「片道切符」だという点です。

オスバチのたった一つの役割は、別のコロニーの女王と交尾して、次の世代に命をつなぐこと。マルハナバチのコロニーは1年で崩壊しますから、翌年に遺伝子を届ける「最後のリレーランナー」がオスなのです。

では、巣の外に出たオスバチの実力はどれほどのものなのか――研究チームがこの疑問にどう切り込んだかを見ていきます。

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