息のCO2を「重さの違う水」で測る
実験室で吐く息を測る「間接熱量測定」に使う、マスク付きの卓上の装置です(COSMED社製)。これは今回の研究で使ったものではありません。研究チームは、実験室にこもらなくても、ふだんの暮らしのまま測れる方法を選びました。Credit: Cosmed / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)これまでも、人の体が出すCO2を見積もる試みはありました。
1つは、食べた炭素の量と、健康な若い大人が息として出す割合から逆算するやり方です。
もう1つは、実験室で吐く息を測り、その値を広く当てはめるやり方です。
ただ、実験室の測定は、多くが30人に満たない少人数で行われてきました。
人が出すCO2の量は、人によっても、同じ人でも時によっても大きく違います。
そのため世界全体の値を出すには、ふだんの暮らしの中で、大勢を十分な期間測る必要がありました。
そこで使われたのが、「二重標識水(にじゅうひょうしきすい)」という測り方です。
ふつうより重い水素と重い酸素を含む水を飲み、2週間ほどいつも通りに暮らしてもらいます。
居間の床にあぐらをかいて座り、コップの水を飲む女性です(イメージ)。二重標識水の測定では、ふつうより重い水素と重い酸素を含む水を飲みます。Credit: Shixart1985 / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)体からは重い水素と重い酸素が少しずつ抜けていきます。
その抜ける速さの差が、体の出すCO2の量に比例するのです。
つまり実験室にこもらなくても、ふだんの生活のままでCO2の量が分かります。
研究チームは、国際原子力機関(IAEA)が集めた、この測り方の世界最大のデータを使いました。
国際原子力機関(IAEA)が、二重標識水で測った世界のエネルギー消費のデータを集めた国際データベースを、国際シンポジウムの場で公開したときの様子です。研究チームは、IAEAが集めたこの測り方のデータを使いました。Credit: IAEA Imagebank / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)そこから選んだのは、新生児から101歳までの6756人分の測定です。
アマチュアやプロのスポーツ選手は、運動量が多くCO2が並外れて増えるため、除かれました。
チームはまず、体重と性別から、1人が1年に出すCO2を予測する式を作りました。
そこに世界保健機関(WHO)や国連の人口データ、体格についての国際的な統計を組み合わせます。
こうして国ごとの量を、1985年から2015年まで30年分足し上げたのです。






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