一般的に、人間の身体能力や一部の認知能力は若い時期にピークを迎えます。
たとえば、推論力、記憶の保持、処理速度といった流動性知能は、20歳前後で高まり、その後は年齢とともに低下しやすいことが知られています。
ところが現実社会では、キャリアの頂点や収入、職業的地位、政治的リーダーシップのピークは、もっと遅い時期に現れることがあります。
論文では、現代社会における職業的成功はおおむね50〜55歳ごろ、主要国の政治指導者は50代半ばから60代前半で選ばれやすいと説明されています。
そこで研究チームは、「人間の実力」を頭の回転だけで見てよいのか、という点に注目しました。
彼らが調べたのは、知能、性格、感情の扱い方、金融知識、道徳判断、認知バイアスへの抵抗などを合わせた、より現実社会に近い心理的な機能です。
研究では、既存の研究から年齢ごとのデータを集めました。
対象になったのは、認知能力、ビッグファイブ性格特性、感情知能、金融リテラシー、道徳的推論、これまでに費やしたコストにとらわれない判断力、認知的柔軟性、認知的共感、認知欲求などです。
そして、それぞれ異なる尺度で測られた結果を、平均50、標準偏差10のTスコアに変換し、同じ物差しで比べられるようにしました。
そのうえで研究チームは、これらを統合した「認知・性格機能指数(Cognitive–Personality Functioning Index:CPFI)」を作成しました。
分析の結果、従来型モデルでも、より広い要素を含めた包括型モデルでも、人間の心理的な機能は55〜60歳ごろにピークを迎える傾向が示されました。
では、なぜ20代ではなく55歳以降がピークになるのでしょうか。
より詳細な結果は次項で見ていきましょう。






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