「人の印象は一度決まったら変わらない」と考えるとコミュニケーションがずっと楽になる

1 ヶ月前 9

「予測できる世界」が不安な心を穏やかにする

対人関係に苦手意識を持つ人は、よく「もっと自分を変えよう」とか「努力すれば相手の評価も変わるはずだ」というアドバイスを受けます。

しかし、この「変われる(成長マインドセット:growth mindset)」という前向きな信念が、人によっては心理的な重荷になる場合があります。

社交不安(Social Anxiety)を感じやすい人々は、他人の評価を非常に気にする一方で、自分が失敗して拒絶されることを強く恐れる傾向にあります。

彼らが対面での交流に臨むとき、その意識は「自分はどう見られているか」という自分自身の内面へと過剰に向いてしまいます(自己注目:self-focused attention)。

研究者は、この内面への執着が精神的なエネルギーを激しく消耗させ、結果として自然な振る舞いを妨げていると考えました。

そこでこの研究では、これまでの常識とは逆に、「人の印象は一度決まればそう簡単には変わらない(固定マインドセット:fixed mindset)」と信じることが、不安を抱える人々の助けになるのではないかという仮説を立てました。

なぜなら、印象が「固定されている」と思えれば、無理に自分を取り繕い続ける必要がなくなり、状況を予測可能なものとして捉えられるようになるからです。

研究者は、まず参加者に対して「人の印象形成」に関するあえて偏った意見の文章を読んでもらい、被験者に特定の考え方を取りやすい状態をつくりました。

わかりやすく言うと、あるグループには「第一印象はなかなか変わらない」という意識するような文章を与え、別のグループには「印象は変化し続ける」と意識するような文章を読んでもらったうえで、その後の行動を観察したのです。

その上で最初の実験では、これから会うかもしれない相手に向けた「自己紹介文」を書いてもらいました。

その結果、社交不安の高い人々は「印象は変わるものだ」と捉えたときよりも、「印象は固定的だ」と捉えたときの方が、第三者から見て魅力的な文章を書くことができました

さらに、より緊張感の高い「2分間の自己紹介動画」の撮影実験でも、同様の結果が得られました。

不安を感じやすい人であっても、評価が固定されていると考えることで、皮肉にも客観的なパフォーマンスが向上したのです。

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