「不安の強さ」だけが問題ではない、不安への「反応の仕方」も重要だった

9 時間前 1

不安そのものではなく「不安にどう反応するか」に注目

そもそも、不安は必ずしも悪い感情ではありません。

不安には、まだ起きていない危険を予測し、私たちに備えを促す働きがあります。

たとえば危険な動物が潜んでいそうな場所をあらかじめ避けることは、生存するうえで役立ってきたと考えられます。

いわば不安は、危険を早めに知らせてくれる「心の警報装置」なのです。

ところが現代では、この警報への反応が、かえって生活を苦しくする場合があります。

たとえば仕事で失敗するのが不安だからと何度も確認を繰り返したり、人前で緊張するからと社交の場をいつも避けたりするケースです。

そこでロバーツ氏らが注目したのが「心理的非柔軟性(psychological inflexibility)」でした。

これは単に「頑固な性格」という意味ではありません。

不安や嫌な考えに強くとらわれ、そのときの状況や自分にとって大切なことに合わせて、行動を選びにくくなる傾向を指します。

嫌な感情を何とか避けようとすることも、その一例です。

たとえば人前で話すことに不安を感じても、「この発表は自分にとって大切だからやってみよう」と行動できるなら、比較的柔軟な反応といえます。

一方、不安を感じるたびにその場から逃げることしか選べなくなれば、不安そのものが行動を決めるようになっていきます。

研究者らは、こうした反応の仕方が、表面上は異なるさまざまな不安関連障害に共通して関係しているのではないかと考えました。

これまでにも心理的非柔軟性と不安の関係は研究されてきましたが、従来よく使われていた尺度には、心理的非柔軟性と単なる心理的苦痛を十分に区別できていないのではないかという問題も指摘されていました。

そこで今回は、心理的非柔軟性をより多面的に調べられる尺度を使って検証しています。

研究には合計1118人が参加し、その内訳は大学生853人と、地域社会から募集した成人265人でした。

参加者は、最近の不安症状を測るDASS-21や、心理的非柔軟性を測る「Multidimensional Psychological Flexibility Inventory:MPFI」などの質問に回答しました。

さらに、これまでの人生で不安障害と診断された経験があるかについても自己申告してもらいました。

こうした分析の結果、不安症状が強いほど診断歴を報告する可能性が高いことに加えて、不安症状の強さだけでは説明できない心理的非柔軟性との関連も確認されました。

しかも、この基本的な傾向は大学生と地域成人という異なる2つの集団で共通して見られました。

では、不安の強さを考慮しても残った「反応の仕方」との関連は、何を意味しているのでしょうか。

より詳しく見ていきましょう。

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