
「オペレーション・ウォーホース・サージ」ポーランド:2026年2月11日、ポーランドのベモヴォ・ピスキエ訓練場で行われた「オペレーション・ウォーホース・サージ」の一環として実施された実弾射撃演習中、第8騎兵連隊第3大隊に所属する米兵が、M1A2エイブラムス戦車の上でM2 50口径機関銃を操作している。(画像:https://www.dvidshub.net)
By John T. Seward – The Washington Times – Wednesday, May 20, 2026
【ワルシャワ】ポーランドの国防省高官はワシントン・タイムズとの独占インタビューで、ソ連崩壊からわずか三十数年だが、現在、ポーランドが欧州で「間違いなく最強の陸軍」を保有し、防衛生産能力の大幅拡充にも取り組んでいると語った。
パベウ・ザレフスキ国防副大臣は今週、米ワシントンを訪れ、国防総省で米当局者との一連の高官会談を行う。それに先立ち、ワシントン・タイムズの軍事・安全保障セクション「スレット・ステータス」のインタビューに応じ、幅広いテーマについて語った。
ザレフスキ氏は「ポーランドは欧州で最大、最強の北大西洋条約機構(NATO)陸軍を有している。ウクライナから教訓を学んでおり、そこから戦時下には非常に短い補給網が必要であることが分かった。そのために投資している」と述べた。
また同氏は、ポーランド政府は今後も自国防衛産業に投資していく意向であると共に、米防衛企業との連携強化にも取り組んでおり、ポーランドは欧州での軍事力の新たな中心となっていると語った。
米政府が先週、米陸軍兵士約4000人のポーランド派遣の延期を決定し、場合によっては中止する可能性もあるとしたことを受け、米ポーランド間の強固な軍事関係への懸念が高まっている。米国防総省は、その決定理由についてほとんど詳細を明らかにしていない。
しかし、両国の防衛産業は協力拡大の兆候を示している。米防衛大手ハネウェルは今週、米国製戦車エイブラムスのエンジンを整備する欧州初の大規模拠点設立に向けた協定に署名した。
ザレフスキ氏はワシントン・タイムズに対し、こうした拡張や投資、軍需品調達・供給への支出増加は、ドナルド・トゥスク首相率いるポーランド政府の重点課題だと述べた。一方で、これらの目標達成に向け異なる道筋を描く政治勢力もあるという。
2022年のロシアによる隣国ウクライナへの侵攻後、ポーランドは軍備への投資を大幅に強化し、欧州での軍事力の頂点に立った。ただしザレフスキ氏は、欧州大陸でのNATO加盟国の中では、依然としてトルコの方が兵員数は多い可能性があることを認めた。
ウクライナはロシアとポーランドの間に位置しており、ロシア軍の侵攻によってポーランドは防衛力増強を加速させると共に、トランプ米政権からこの地域での戦略上非常に重要な国として見られるようになっている。
ピート・ヘグセス米国防長官はポーランドを「模範的同盟国」と呼んでいる。一方で、トランプ政権はNATO加盟国に対し、自国防衛への投資不足を厳しく批判している。ロシアの軍事的攻勢が続く中、欧州連合(EU)の安全保障は、緊張が高まった冷戦期以来の脅威に直面している。
■NATOの新リーダー
ポーランドは過去4年間で国防予算を大幅に増やしており、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2022年の153億ドルから2025年には約500億ドルへと増加した。
現在、ポーランドの国防費の国内総生産(GDP)比は、米国を含む全NATO加盟国中で最高となっている。
拡大する米ポーランド同盟を支えているのは、増加したポーランド軍事支出の大部分が米企業に向かっているという現実だ。この流れは今後数年でさらに加速する見通しだ。
ザレフスキ氏によれば、欧州域内の防衛産業重点分野への投資拡大を目指すEU主導の新計画「欧州安全保障行動(SAFE)」によって、ポーランド全体の支出はさらに516億ドル増加すると予測されている。
「その資金はポーランドの軍需産業に投入される」と同氏は述べた。
さらに同氏は、これらの投資がポーランドで事業展開する米防衛企業にも大きな影響を与えていると説明した。システム統合や共同事業が進むことで、米企業もより多くのEU防衛契約の対象となる可能性が高まるという。
同氏は、軍事技術ライセンス供与の拡大や、現在の安全保障環境下での生産能力強化の必要性が、EUのSAFE計画支持を後押ししている主要な要因だと指摘した。
しかし、SAFE計画を巡り、ブリュッセルのEU本部官僚機構が将来的に過大な影響力を持つ可能性があるとして、ポーランド国内で対立要因となっている。
保守強硬派のカロル・ナブロツキ大統領は、EUに対する姿勢を巡り、トゥスク首相率いるリベラル連立政権と対立を続けている。
ナブロツキ氏は最近、ポーランド議会によるSAFE計画の承認を拒否権を行使して阻止した。同氏や他の保守派は、この計画が欧州委員会に広範な資金徴収権限を与えると主張。また、欧州の供給企業を優遇する仕組みが組み込まれており、米国との防衛産業連携を損なう恐れがあると反発した。
特に問題視されているのは、SAFE計画による投資の大半が独仏の防衛産業に流れる可能性だ。独仏両国は防衛問題を巡ってトランプ氏と公然と対立してきた。
これに対し、リベラル連立政権に属する無所属議員でもあるザレフスキ氏は、SAFE計画を別の視点から捉えている。同氏は、このEU構想は米軍とポーランド軍双方に利益をもたらすと主張した。
ザレフスキ氏はワシントン・タイムズに「SAFE計画によって米軍需産業も利益を得る。われわれが経済的成功を収めているのはEU加盟国だからだ。その結果として軍近代化を進めることができた」
■米ポーランド関係強化へ
NATO東部戦線の各国は軍事的に大きな負担を強いられ、その負担は、EUや米国の防衛生産能力を上回り始めている。さらに中東での紛争が続いていることから、ロシアに近いNATO同盟国の資源は一層逼迫している。
ザレフスキ氏は「欧州防衛産業の能力は非常に限定的であり、残念ながら必要な水準に達していない。当然ながら、ポーランド軍、ウクライナ軍、NATO東部各国軍の需要の規模を考えれば、ポーランドと米国の協力深化は極めて重要となる」と語った。
同氏は今週、米国のエルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)と会談し、両国の軍事関係強化策を協議する。
ただし、最近の部隊派遣延期問題が会談に影を落とす可能性もある。ある高官によれば、ポーランド側は報道を通じて、延期を初めて知ったという。
ポーランドは国内への米軍駐留拡大を求めてきたが、今回の派兵延期の決定はロシアに弱みを見せることになるのではないかとポーランド政府内で不安を呼んでいる。
それでも米政府当局者は一貫して、ポーランドを緊密な同盟国・パートナーと位置付けている。
米国防総省声明も、その認識を反映している。
国防総省のショーン・パーネル報道官は20日、声明で「派兵を巡る検討が進む中、米国は今後もポーランド側と緊密な協議を継続していく。それは、米国がポーランドに強力な軍事プレゼンスを維持できるようにするためでもある。ポーランドは自国防衛の能力と決意を示している。他のNATO加盟国もそれに倣うべきだ」と強調した。
ポーランドは自国軍への投資と米政権との関係強化を続けている。「フォート・トランプ」米軍基地構想の発表や、世界で3カ所しかない戦車エイブラムスのエンジン整備施設の開設は、両国軍の結び付きを強化したが、課題も残る。
2018年にポーランド常駐米軍基地構想が提案されたにもかかわらず、フォート・トランプの建設はいまだ始まっていない。実現には、米軍常駐を認めるため、ポーランドの防衛協力協定の改定が必要となる。
ポーランド政府は、エイブラムス整備施設を大きな成果と位置付けている。ポーランド軍自身もエイブラムスを運用しており、この施設を、NATO同盟国向けに部品を生産し、補給、製造の拠点とするための一歩とみている。
ザレフスキ氏は、米国が逼迫した国内生産基盤から生産能力を国外に分散する一方で、ポーランドは技術力を高め、大西洋をまたぐ連携を強化していると語った。
「ポーランドの製造業は米国の技術を取り入れ、生かすことが可能であり、米軍の備蓄を支える上で極めて重要な役割を果たし得る。米防衛産業の生産能力には限界がある。これこそが、どこかで重大な紛争が起きた際に備え、能力強化を確保する最良の方法だ」

2 時間前
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