ブロックチェーン分析大手に不正アクセス、犯罪追跡の「守り手」が狙われる

7 時間前 1

音声で聞く

この記事の要点

  • チェイナリシスが不正アクセスを公表、顧客情報が閲覧される
  • AI悪用のエージェント型攻撃、IT業界で相次ぐ

チェイナリシスに不正アクセス、顧客情報が閲覧

ブロックチェーン分析大手Chainalysis(チェイナリシス)は2026年10月30日、同社のシステムと社内ツールが外部から不正アクセスを受け、一部の顧客情報が閲覧されたと公表しました。

閲覧された情報には、プラットフォーム利用者の氏名やメールアドレス、ユーザーID、組織内での役割を示すラベルなどが含まれており、顧客の識別や連絡に関わる情報がアクセス対象となっています。

ただし、調査用のグラフやメモ、案件情報、取引・クエリ結果、パスワードなどの認証関連データについては、不正アクセスの痕跡が確認されていないと同社は説明しています。

同社はすでに全顧客への通知を終えており、外部のサイバーセキュリティ専門家と連携しながら、閲覧された情報の詳細な調査とシステムの安全対策を進めています。

AI型攻撃で侵入、チェイナリシスが対策強化

AI手法で侵入検知、認証データは無事

チェイナリシスによると、10月30日に外部の攻撃者が「エージェント型の攻撃手法」を使用し、社内システムと内部ツールへ不正に侵入したことを検知しました。

侵入の検知後は、攻撃者によるアクセスの実態を調査するとともに、システムの脆弱性を修正するなど、被害の拡大防止に向けた対策を講じています。

これまでの調査では、平文のパスワードや多要素認証(MFA)の秘密情報、ログイン状態を維持するセッショントークンについて、攻撃者がアクセスした証拠は見つかっていないといいます。

攻撃者が使用したツールや侵入経路、攻撃主体の身元については詳細が公表されておらず、エージェント型攻撃の技術的な全容は依然として不明となっています。

巧妙化するAI攻撃、LLMで守りを強化

チェイナリシスは、ここ数週間でほかのテクノロジー企業にも同様のサイバーセキュリティ事故が発生していると指摘し、今回の不正アクセスを業界全体に共通する脅威として捉えています。

AIによる攻撃の高度化については、2026年6月にも大規模言語モデル(LLM)を用いた脆弱性分析によって、ソースコードが公開されていないスマートコントラクトも攻撃対象になりやすくなっていると報告しており、以前から警戒を示していました。

今回の不正アクセスに際しても、チェイナリシスは外部のサイバーセキュリティ専門家による調査に加え、LLMを用いたセキュリティ点検を実施するなど、システムの防御体制を強化しています。

バイナンス大規模流出との関連を否定

チェイナリシスは自社システムへの攻撃とあわせて、直近で発生した仮想通貨取引所Binance(バイナンス)の大規模な資金流出事件にも言及し、両事件は無関係であると明確に否定しました。

バイナンスでは10月29日、10種類のブロックチェーンにわたって仮想通貨(暗号資産)が不正に流出しており、ブロックチェーン分析企業TRM Labsは被害額を約63億6,000万ドルと推計しています。

この事件についてTRM Labsは、北朝鮮のハッカー集団「TraderTraitor」が関与したとの分析を示しており、バイナンスのホットウォレットに関わる署名基盤が侵害された可能性を指摘しました。

仮想通貨業界に相次ぐ攻撃、警戒が強まる

仮想通貨業界では相次ぐセキュリティ事故を受け、企業間の協力を求める声も上がっており、Gate(ゲート)の創業者兼CEOであるリン・ハン氏は10月30日、バイナンス事件を受けて業界横断のセキュリティ同盟結成を提案しました。

バイナンスでの巨額流出に加え、犯罪調査や不正取引の追跡を担うチェイナリシスも攻撃対象となったことで、業界では顧客資産の保護だけでなく、分析企業が保有する利用者情報の管理も重要な課題として浮かび上がっています。

チェイナリシスは利用者に対し、身に覚えのないパスワード再設定要求や認証通知への警戒、2要素認証(2FA)の有効化を呼びかけるとともに、実際にアクセスされた記録の特定を続け、対象顧客へ詳細を個別に通知する方針を示しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=円)

>>ハッキング関連の最新ニュースはこちら

Source:Chainalysis公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

記事全体を読む