ピンク色の「葉に擬態するキリギリス」を発見、環境変化に合わせた”超戦略”か

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葉に擬態するキリギリスで「ピンク色の個体」が発見される

研究対象となったのは、中南米に生息するキリギリスの一種 Arota festae です。

この昆虫は、葉に似た丸みのある前翅を持ち、植物の葉そのもののように見えることで知られています。

ふつうは緑ですが、研究者たちはパナマのバロ・コロラド島で、鮮やかなホットピンク色の成体メスを発見しました。

体長は約27ミリ、体重は約1グラムです。

画像ピンク色のArota festae / Credit:J. Benito Wainwright(University of St Andrews)et al., Ecology(2026), CC BY 4.0

実は、ピンク色のキリギリス自体は今回が初めてではありません。

科学文献では1878年以降、ピンクのキリギリスがたびたび報告されてきました。

ただ、これまでは多くの場合、そうした個体は色素異常のような珍しい突然変異だと考えられてきました。

「目立ちやすく、擬態ににはむしろ不利な色だ」と見なされてきたからです。

しかし今回の個体は、その見方を揺さぶりました。

研究者たちはこの個体を自然に近い温度と湿度のもとで30日間飼育し、緑の植物やリンゴ、水を与えながら毎日写真を撮って観察しました。

ケージの中には緑色のArota festaeも入っており、比較もできる状態でした。

その結果、体色ははっきりと変化していきます。

  • 発見時:鮮やかなピンク
  • 4日後:淡いピンク
  • 約11日後:完全な緑色

最終的には、ほかの一般的な緑色個体と見分けがつかないほどになりました。

さらにこの個体は、飼育中に交尾にも成功しました。

その後は緑色のまま過ごし、翌月に自然死しています。

ここで重要なのは、この変化が脱皮をまたがず、成体のまま起きたことです。

もし単なる突然変異なら、一生ピンクのままでいてもおかしくありません。

ところが実際には、1匹の成体が時間とともにピンクから緑へ変わりました。

この観察結果から研究チームは、「ピンク個体は単なる異常」と片づけるのは早いのではないかと考えたのです。

では、なぜこの個体は自然界でも目立ちそうな「ピンク色」だったのでしょうか。

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