イギリス・ロンドン西部のイーリング地区にある約10ヘクタールの「パラダイス・フィールズ」に2023年10月、ビーバーの家族が放たれた。
それ以来、この自然保護区の下流に位置する地下鉄グリーンフォード駅は、悩みの種だった浸水被害と無縁の状態が続いている。
ロンドンのカーン市長は2026年6月、「ビーバーは自然界のエンジニアです。これほど有能だと私たちは気づいていませんでした」とInstagramに投稿。
「この驚くべき生き物たちはすでに、地下鉄の駅の浸水を防ぎ、地元の生息環境再生に大きく貢献しています」とビーバーの功績を称えた。
都市部にビーバーを復活させる活動を「イーリング・ビーバー・プロジェクト」などと共に行ってきたのが、自然再生団体「シチズン・ズー(Citizen Zoo)」だ。
同団体の自然再生部門ディレクターであるエリオット・ニュートン氏に、なぜビーバーをロンドン西部に復活させたのか、どのように人間を助ける可能性があるのかを聞いた。
ビーバーはどこで復活している?
近年、ロンドンだけではなく、イングランドのサマセットやコーンウォールなどイギリス各地でビーバーの再導入が進められている。
ロンドン自然史博物館によると、スコットランドでは2000年代初めに野生のビーバーが確認されており、2026年にはグレン・アフリック自然保護区やビューティ川で新たな放流が行われる予定だ。
ウェールズでもビーバー再導入のための活動が行われている。北アイルランドで同様の動きはないものの、ビーバーは元々この地域に生息していなかった可能性が高いと考えられている。
ニュートン氏は「ヨーロッパビーバーはイギリス固有の在来種ですが、イギリスでは約400年前に狩猟によって絶滅しました(ロンドンでは、それよりもさらに早い時期に姿を消したと考えられている)」とハフポストUK版に説明した。
ビーバーは肉や毛皮、香水の原料などを求める人間によって狩猟された。また、森林伐採や都市開発、農業の拡大によって生息地を追われたことも絶滅の一因になった。
しかしニュートン氏によると、イギリスでは過去20年間にビーバーを再び定着させようという動きが広がっている。
このビーバーの再導入は、豊かで持続可能な環境を築くために一役買っているという。
「ビーバーは“生態系のエンジニア”で、湿地を作り、保全します。それにより、洪水のリスクが軽減し、水質が改善し、干ばつに耐える力が向上して、多様な野生生物を支えてくれます」とニュートン氏は話す。
なぜビーバーが洪水防止に役立つのか?
ニュートン氏によると、ビーバー復活プロジェクトが資金援助を受けられた理由の一つが、洪水を軽減させる効果への期待だ。
ビーバーは木の枝や泥、石などを使ってダムを作る。このダムのおかげで、大雨が降った時に、川の水が勢いよく流れ出すのを抑えられるという。さらに、ビーバーが作る池や小さな水路が、水を吸収・貯留できる湿地を形成する。
ニュートン氏は「ビーバーがダムを築き、湿地を作ることで、大雨が降った時に水をため込める容量が増えます。それにより、水の流れが緩やかになり、流域での洪水の負荷軽減に役立っています。興味深いことに、ビーバーが来て以来、地元駅の改札などでたびたび起きていた浸水が発生していません」と説明する。
同氏は、ビーバーがもたらす効果についてはさらに研究が必要だとしつつ、再導入は「自然を活用した解決策(ネイチャー・ベースド・ソリューション)の導入が、都市部で気候変動への適応力を高める可能性を示す事例だ」と話す。
ビーバー再導入による効果は、洪水防止だけではないという。
イーリング・ビーバー・プロジェクトは、生物多様性の向上や、地域住民の参加や関心の高まり(その結果、反社会的行動が減少する)、気候変動に強い環境づくりなどを利益として挙げている。
ハフポストUK版の記事を翻訳・加筆・編集しました。

3 ヶ月前
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