
この記事の要点
- 金与正氏、バイナンス約1兆円流出への関与を全面否定
- FBI認定に反論、米国側の関与を逆に示唆
Googleニュースで「優先ソース」に登録すると、
BITTIMESの記事が見つかりやすくなります
バイナンス流出への関与を全面否定
北朝鮮の金正恩総書記の妹である金与正(キム・ヨジョン)氏は2026年11月3日、朝鮮中央通信(KCNA)を通じて声明を発表し、仮想通貨取引所Binance(バイナンス)から約63億ドル(約1兆円)相当が流出した史上最大規模のハッキング事件について、北朝鮮の関与を否定しました。
この事件では、米連邦捜査局(FBI)が10月31日、北朝鮮のハッキング組織「TraderTraitor」による犯行だと公式に認定しており、金氏は「米国の主張は荒唐無稽な言説であり、目新しいものではない」と反論しています。
同氏は否定するだけでなく、盗まれた仮想通貨(暗号資産)が回収された後の受領先を調べれば、犯行の背後にいる人物を特定する手がかりになる可能性があると述べ、米国側の関与を示唆しました。
ただし、金氏は米国の関与を裏付ける具体的な証拠を示しておらず、ブロックチェーン調査企業TRM Labsも資金移動や攻撃手法の分析から北朝鮮の関与を指摘しています。
史上最大被害から3日で回復へ
北朝鮮帰属の根拠と金氏の反論
TRM Labs「高い確信度」で北朝鮮
TRM Labsは10月29日に公表した分析で、バイナンスへの攻撃は北朝鮮のハッキング組織「TraderTraitor」による犯行だと「高い確信度」で判断したことを明らかにしています。
その根拠として、攻撃者のウォレットにミキシングサービス「Tornado Cash」から少額の資金が送られていたことを挙げ、資産の窃取に向けた準備が少なくとも36時間前から進められていたと分析しました。
実際の攻撃では、バイナンスのウォレットから事前に取得された50件の署名が利用されており、TRM Labsはこうした手法が2025年のBybit事件など、過去の北朝鮮関連ハッキングと類似していると指摘しています。
ブロックチェーン分析企業Chainalysis(チェイナリシス)の調査チームも、過去の攻撃との関連性からTraderTraitorによる犯行の可能性が高いとの見方を示しました。
被害規模と凍結・補填の動き
TRM Labsの同分析によると、バイナンスのウォレットから10種類のブロックチェーンにまたがる約63億6,000万ドル相当の資産が流出し、その大部分が約20分間で移動したとされています。
流出した資産について、FBIは攻撃者が主にイーサリアム(ETH)へ交換していると説明し、分散型金融(DeFi)や即時交換サービスを通じた資金洗浄への警戒を呼びかけました。
被害を受けたバイナンスはステーブルコイン発行企業などと連携し、約30億ドル相当の盗難資産を凍結したと発表しています。
顧客への補填も進められており、同社は11月1日までに盗難資産の約95%を補填し、主要10銘柄の準備金について100%の裏付けを回復したと報告しました。
金与正氏「犯罪国家に仕立てている」
FBIは今回のバイナンス事件に先立ち、2025年2月に発生した仮想通貨取引所Bybit(バイビット)からの約15億ドル相当の資産流出事件についても、TraderTraitorによる犯行だと公式に認定していました。
金氏は今回の声明で、このBybit事件への帰属判断にも異議を唱え、国際的なサイバー犯罪が発生するたびに米国が北朝鮮と結びつけていると非難しています。
さらに、こうした認定によって国際社会に誤った認識が広められていると主張し、米国がサイバーセキュリティ問題を政治的な目的に利用していると批判しました。
そのうえで、北朝鮮はサイバー空間における悪意ある活動に反対する立場だと強調し、FBIが同国を「サイバー犯罪国家」に仕立て上げようとしているとの主張を展開しています。
北朝鮮とラザルスを米国で提訴
相次ぐ北朝鮮系攻撃と深まる米朝対立
北朝鮮の関与が疑われる仮想通貨流出事件は、9月25日に発生したBitget(ビットゲット)のハッキングでも関連性が指摘されており、オンチェーン調査家ZachXBTはバイナンスとBitgetの盗難資金が同じアドレスで混在していたと報告しています。
相次ぐ大規模な流出事件について、TRM Labsの分析では、2026年の北朝鮮系ハッカーによる仮想通貨窃取額は約74億ドルに達し、世界全体の被害額の約85%を占めると推計されています。
その大部分を占めるBinance事件では、攻撃者が依然として約24億ドル相当のビットコイン(BTC)やイーサリアムを保有しており、同社はこれらの資産について発行体による凍結ができないと説明しています。
こうした巨額の盗難資産が残るなか、金与正氏は米国による犯行認定を否定するだけでなく、米国の敵対的な姿勢を理由に複数の問題を再検討する可能性にも言及しており、資金追跡が続く大規模ハッキング事件をめぐって米朝の対立が表面化しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.90 円)
関連の注目記事はこちら
Source:KCNA Watch
サムネイル:AIによる生成画像

15 時間前
2













English (US) ·
Japanese (JP) ·