「トークン化で数百億ドルの資本解放」ナスダックCEOが余剰担保活用を提唱

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この記事の要点

  • ナスダックCEO、トークン化で数百億ドルの資本解放を提唱
  • 余剰担保368億ドルのうち48億ドルを流動化可能と試算

ナスダックCEO「トークン化で数百億ドル解放」

米ナスダックの会長兼CEOを務めるアデナ・フリードマン氏は2026年10月8日、シンガポールで開催された仮想通貨カンファレンス「TOKEN2049」で、金融資産のトークン化によって数百億ドル規模の資本を解放できる可能性があるとの見方を示しました。

米CNBCの報道によると、フリードマン氏は米国債・株式・MMF(マネー・マーケット・ファンド)などの金融商品と資金の移動を一体的にトークン化することで、金融機関が担保として確保している資産を柔軟に移動させ、決済に伴う資金拘束や余剰担保を減らせるとの考えを示しています。

ナスダックと調査会社ValueExchangeが共同でまとめた調査でも、運用資産1,000億ドル超の大手金融機関が抱える余剰担保や利息を生まない担保が約368億ドル(約5.8兆円)に達すると推計されており、担保管理における資本効率の低さが課題となっています。

フリードマン氏は金融市場の24時間365日稼働にも言及し、取引時間の拡大に伴って生じるリスク管理や担保管理の課題を指摘しました。

こうした管理業務を支える技術として同氏はAI(人工知能)の役割を挙げており、ナスダックも関連するAIエージェントの導入を進めています。

ナスダックが描く担保改革とAI・Kraken戦略

余剰担保48億ドルにトークン化の好機

ナスダックと調査会社ValueExchangeが共同でまとめた調査では、回答企業の70%が決済照合や担保の受渡しで日常的な課題を抱え、35%の企業が翌朝のマージンコールに備えて担保の半分以上を前夜のうちに差し入れていることが明らかになりました。

こうした前倒しの担保確保などによって、金融機関は必要額を上回る資産を確保しており、同調査では担保利用総額の約25%が利息などの収益を生まない状況にあると指摘しています。

運用資産1,000億ドル超のTier1金融機関では、余剰担保や利息を生まない担保が約368億ドルに達しており、そのうち約48億ドル(約7,575億円)をトークン化によって流動化できると推計されました。

同調査では、約48億ドルの担保を流動化することで、Tier1金融機関の年間利息収入が約3億4,600万ドル(約546億円)増加すると試算しています。

24時間取引のリスク管理をAIで支援

24時間市場の運営について、フリードマン氏は取引所のシステムを常時稼働させること自体よりも、従来は閉場時間に実施してきたリスク評価や担保管理を継続的に処理する体制の構築が難しいとの認識を示しています。

こうした管理業務へのAI導入を進めるナスダックは、2026年9月29日、資本市場・財務プラットフォーム「Nasdaq Calypso」にエージェント型AIの運用環境を導入したと発表しました。

新たな運用環境では、取引・リスク管理・担保管理に関するデータをAIエージェントが参照し、第一段階として自然言語によるデータ分析や文書確認を支援する機能の提供を開始したと同社は説明しています。

ナスダックは今後、金融機関ごとの管理・監督要件を満たしながらAIエージェントによる業務支援を拡大し、取引からリスク管理までの手作業を減らしていく方針を示しています。

クラーケン提携でトークン化基盤を拡大

ナスダックは、金融機関のリスク管理を支えるAIの導入と並行して、トークン化資産の流通基盤の開発も進めており、2026年9月10日には仮想通貨取引所Kraken(クラーケン)の親会社Paywardに対し、投資部門Nasdaq Venturesを通じて1億ドル(約158億円)を出資する契約を結んだと発表しました。

以前から両社は株式のトークン化で協力しており、今回の提携拡大ではナスダックが開発する「Nasdaq Equity Token(NET)」の基盤と、Paywardが展開するトークン化株式「xStocks」のエコシステムを接続する方針を示しています。

両社は2027年前半のNET稼働を目指しており、発行企業や投資家の権利を維持しながら、トークン化株式を異なる市場間で流通させる枠組みの開発を進めています。

取引対象の拡大に向けて市場監視でも協力する計画で、Paywardはナスダックの監視技術を仮想通貨・株式・トークン化株式・先物・オプションの各取引市場に導入し、市場の健全性と投資家保護を高める方針を明らかにしました。

世界の主要取引所でトークン化競争が加速

金融資産のトークン化による効率化を目指しているのはナスダックだけではなく、ニューヨーク証券取引所の親会社ICE(インターコンチネンタル取引所)も2026年1月19日、米国上場株式やETFの24時間取引と即時決済に対応するトークン化証券プラットフォームを開発中だと発表しました。

同様の取り組みは英国でも進められており、ロンドン証券取引所とPaywardは2026年9月1日に提携を発表し、主要100銘柄のトークン化と、規制当局の承認を条件とした取引基盤「LSE 24」での売買支援を計画しています。

こうしたRWA(現実資産)のトークン化や取引時間の拡大に対し、フリードマン氏はすべての資産が24時間取引に適しているわけではないと指摘し、流動性の低い資産には常時取引の環境が適さない場合もあるとの認識を示しました。

ナスダックが掲げる数百億ドル規模の資本解放は、金融資産のトークン化による将来的な可能性を示したものであり、実現には担保の流動性改善に加え、リスク管理や決済を継続的に処理できる市場インフラの構築が求められています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.04 円)

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Source:CNBC報道
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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