スマホで“14年”を溶かす前に…使用時間を減らす「今すぐできる対策」は?『脱スマホ術』著者に聞いた

2 ヶ月前 12

やるべきことがあるのに、ついスマホを手に取ってしまい、気づけば何時間も見ていたーー。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

スマホの平均利用時間は1日あたり約5時間ともいわれています。これを生涯に換算すると、なんと約14年。気づかないうちに、それだけ多くの時間をスマホに費やしていることになります。

なぜ、人はスマホをやめられなくなるのでしょうか。スマホに時間を奪われないためには、どうしたらよいのでしょう。ヒット中の書籍『脱スマホ術』の著者、戸田大介さんに聞きました。

戸田大介さん/書籍『脱スマホ術』のカバー

ダイヤモンド社

戸田大介さん/書籍『脱スマホ術』のカバー

人がスマホに依存してしまう理由とは

ーーそもそも、なぜ人はスマホに依存してしまうのでしょうか?

まず知っておきたいのは、人は自分の意思だけで行動を決めているわけではないということです。

たとえば、テレビが目の前にあれば、特に見ようと思っていなくても、なんとなく見てしまう。ドラマや映画を選ぶときも、自分が観たいものを能動的に選んでいるのではなく、AmazonプライムやNetflixの「おすすめ」に表示されたものから選んでいることが多い。

Netflixの公式データでも、視聴時間の約8割は検索ではなく、レコメンドを通じて選ばれた作品だとされています。

つまり、人間は自分の行動を自分自身でコントロールしているように見えるけれど、実際は外から与えられる刺激に反応する形で決まっていることが多いのです。

スマホは、まさにこの性質を上手く利用しています。SNSなどは、目の前に「ボタンを押せば楽しいことが待っている」という状態が常にある。そうなると、人間は本能的に、目の前の楽で簡単なことに反応してしまいます。

「やるべきこと」より「すぐに楽しいこと」を選んでしまうのは、意志が弱いからというより、人間の行動そのものが、周囲の環境に大きく左右されるからなのです。

スマホの利用時間を減らすために、今すぐできること

ーーでは、スマホの使用時間を減らすためにできることとは?

ポイントは、自分の意思で我慢するのではなく、行動を誘発している刺激を取り除くことです。

たとえば、動画の自動再生機能をオフにする。次の動画が勝手に始まらなければ、「もう1本だけ観よう」というきっかけを減らせます。これも調査があり、動画の自動再生機能をオフにするだけでも、視聴時間が減ることが分かっています。

SNSなどには、アプリごとに利用制限をかけるのも有効です。まず自分がどれくらい使っているのかをスクリーンタイムなどで確認し、たとえば3時間使っているのなら、最初は2時間半を上限にする。

いきなり30分など極端に減らすことはおすすめしません。急に減らすと「全然満足できない」と感じて、上限を解除してしまうことがあるからです。

まずは今の利用時間から20〜30%程度減らして、慣れてきたらさらに減らす。「惰性で見ている時間」を少しずつ削ることが大切です。2時間半が当たり前になれば、さらに短くしても苦にならなくなる。最終的には、利用制限がなくても自分でやめられる状態になるのが理想です。

ーー「寝る前の2時間はスマホを見ない」など、自分で目標を決めるだけではダメですか?

目標を決めることには意味があります。ただ、「未来の自分の意思」に期待しすぎないことが大切です。

「今日からデジタルデトックスしよう!」と決めた日はやる気にあふれていても、それは時間の経過とともに下がっていきます。やる気を前提にした仕組みは、どうしても崩れやすいのです。

だからこそ、外部の環境を変える。たとえばIPhoneなら、21時以降はスマホを使えないようにする設定もかけられます。そうすればやる気がなくても機械的にシャットアウトできます。

また、スマホを部屋の外に置くのも有効です。人間は思っている以上に怠惰なので、立ち上がってドアを開けるという少しの手間があるだけでも、「めんどくさい」と諦めてしまう。

就寝前にアラームをかけるため、スマホを寝床に置く人も多いですが、できれば近くに置かないことが理想です。目覚ましが必要なら、昔使っていたスマホをアラーム専用にするのもおすすめ。SNSなどが入っていなければ、わざわざ触りたいという気持ちも起きにくくなります。

ーー仕事でスマホやSNSを使うことが多い人は、どう自己管理すればよいでしょう? リサーチのために見ていたはずなのに、つい横道に逸れることも…。

「見るデバイス」と「見る時間」を分けるのがおすすめです。

たとえばSNSはスマホではなくPCから見る。デバイスを変えるだけでも、途中で別のことに逸れる可能性を減らせます。

さらに、SNSやメール、チャットなど外部からの刺激を受ける「コミュニケーション」の時間と、自分の作業に集中する「こもる時間」を明確に分けることもおすすめします。

企画など負荷の高い仕事をしている最中に通知が来ると、せっかく高まっていた集中力が途切れてしまいます。「こもる時間」はスマホの通知を切るなど、外部からの接点を断つことで、作業が捗るでしょう。

タイマーをかけて“架空の締切”をつくる

ーースマホの利用時間を減らしても、結局昼寝やテレビを観る時間が増えるだけになりませんか?

スマホ対策には「スマホの利用時間を減らす」だけでなく、「代わりに有意義な時間を増やす」ことも必要です。

そこで重要になるのが、自分の「緊張状態」をコントロールすること。人間は、すごく緊張している状態と、すごくリラックスしている状態の間を行き来しています。

たとえば語学の勉強をしたいと思っていても、身体がリラックスしていると、なかなか行動に移せません。

そこで、図書館やカフェに行って周囲に人がいる環境で集中モードに切り替える。あるいは、タイマーをかけて「あと◯分しかない」という状況をつくる。目の前で時間が減っていくことで、締切のような効果が生まれ、集中しやすくなります。

ーータイマーを使うなら、最初は何分くらいから始めるとよいのでしょう?

 「まったくやる気が出ない」という状態なら、10分程度から始めるのがおすすめです。

「10分が終わったら、今日はもうやらなくていい」と自分に許可した上で始める。これならハードルは下がります。

何回か繰り返す場合は、休憩は1〜2分程度で十分。この間、スマホは触らないようにしましょう。休むというより、時間を区切ることに意味があるので、いったん椅子から立ち上がって、ふぅと少し息をつくくらいでよいのです。

また、タイマーで時間を測るだけでなく、記録しておくことにも意味があります。専用のアプリを使えば、「今日は25分を5回やった」といった記録を残せます。

すると、「自分は5回繰り返しただけでこんなに疲れるんだ」と、自分の集中力の限界も分かってくる。振り返ったときに、「今日はこれだけやった」という達成感にもつながります。

【PROFILE】戸田大介さん

山形県尾花沢市出身。新卒で電通アイソバー(現・電通デジタル)に入社し、データアナリストとして勤務した後、bondavi 株式会社を創業。2016年に習慣化アプリ「継続する技術」、18年に集中アプリ『集中』をリリース。データと行動科学の知見をもとにした各アプリが評判となり、累計ダウンロード数は1000万を超える。著書に『継続する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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