(CNN) 不妊治療クリニックを経営する筆者が問題に直面している男性から最初に聞く言葉は、たいてい同じだ。「自分が原因だとは思いもしなかった。先生、助けてください」
筆者はあらゆるケースを見てきた。女性の側の検査結果に問題がなかったため紹介されてきたカップル、妊娠を試みる前に精液検査を受ける男性、不妊が切迫する前になんらかの目安を知りたいという男性などだ。
本人たちには症状も前兆もない。ただ予期していなかった結果だけが目の前に突きつけられる。
多くの男性は、ストレスが気分や性欲、勃起に影響を与えることはすでに知っている。しかし、常にプレッシャーを感じていることが精子の健康にも影響を及ぼす可能性があることは認識されていない。不妊の問題がストレスだけで引き起こされることは稀(まれ)だが、ストレス自体は見落とされがちな要因の一つと言えるかもしれない。
ストレスが体に及ぼす影響
多くの男性は、ストレスとは単なる「気の持ちよう」の問題であり、頭の中で起きているだけだと考えている。だが実際のところそれは、体の働きをも変えてしまう。
ストレスがかかると、体はコルチゾールやアドレナリンといったホルモンを分泌する。この分泌は、ストレスの大きい状況に対応するため体に備わった警報システムの一部で、短期的には役に立つこともある。しかしストレスが数週間、あるいは数カ月も続くと、体はその代償を払い始める。具体的には睡眠の質が低下し、エネルギーが落ち、気分が変化する。体重が増加する一方で、性欲は低下する。
精子が生成されて成熟し、精液中に現れるまでには約2~3カ月かかる。慢性的なストレスの方が短期間のストレスよりも深刻な影響を及ぼす可能性がある理由の一つはこれだ。数カ月にわたる燃え尽き症候群や睡眠不足、絶え間ないプレッシャーは、男性が必ずしも予期しない形で現れ始める。その中には生殖能力への影響も含まれる。
慢性的なストレスは体内の酸化ストレスを高める可能性があり、これが精子に直接的なダメージを与える恐れがある。研究ではストレスレベルが高いほど精子数や運動性、形態の悪化など、精液パラメーターの低下と関連があることが示されている。1200人以上の男性を対象としたある研究では、ストレスレベルが最も高いグループは、中程度のストレスレベルを持つグループに比べ、精子濃度と総精子数が有意に低いことが判明した。
ストレスと不妊が密接に関連する理由
慢性的なストレスを抱える男性は、問題をさらに悪化させるような生活パターンに陥りがちだ。睡眠不足になり、運動量が減り、体重が増加し、薬物やアルコールへの依存度が高まる傾向がある。
中には精神的に疲れ切っているあまり、数カ月間も自分の体の発するサインに気づかない人もいる。
筆者が男性の不妊に関する相談を受ける際には、性生活についてだけでなく睡眠、気分、仕事のストレス、体重の変化、運動、薬物やアルコールの使用、そして全体的な健康状態など、あらゆる要因について質問する。不妊治療は通常、単一の要因だけで決まるものではない。問題は多くの場合、複数の要因が同時に悪い方向に進むことで生じる。そのきっかけは往々にしてストレスによってもたらされる。
男性が検査を受けるべきタイミング
男性が見落としがちな点として、生殖能力と性機能は別物であるということが挙げられる。ベッドでの生活に何の問題がなくても、潜在的な精子の問題を抱えている可能性はゼロではない。
一般的に、パートナーが35歳未満であれば妊娠を試みて1年経っても成功しない場合、35歳以上であれば6カ月経っても成功しない場合に、不妊検査を受けるよう勧められている。しかし実際に問題が起きるのを待つ必要はなく、すでにリスク要因(過去の精巣疾患、化学療法、特定の手術、遺伝性疾患、ホルモン異常など)がある場合は、早めに検査を受けた方がいいかもしれない。
精液検査は多くの場合、最初に行うべき最も有用な検査の一つだ。この検査では精子数、運動率、形態を調べる。状況次第では、より詳細な検査として身体検査、ホルモン検査、場合によっては画像診断や遺伝子検査が行われることもある。
精液検査をはじめとする多くの検査は現在自宅で実施できるようになっており、より容易に情報を得ることが可能だ。
男性が今すぐできること
筆者のオフィスで男性と面談する際、最初に伝えるのは「あなたは一人ではない」ということ、そして私たちにできる支援があるということだ。まずは会話から始め、検査や診察を行う。根気強さも求められる。状況は一朝一夕で改善するわけではないからだ。
とはいえ、単純に「リラックスする」ことが答えではない。本当のストレスへの対処は一筋縄ではいかない。仕事の要求、経済的なプレッシャー、家庭内の緊張、そして不妊治療に伴う精神的な負担は、誰かに「落ち着いて」と言われたからといって消えるものではない。
それでも男性にまずできるのは、ストレスが引き起こしているかもしれない習慣を正直に見つめ直すことだ。睡眠は十分か? 体を動かしているか? 適度な食事をとっているか? 飲みすぎてはいないか? ニコチンやマリフアナを頻繁に摂取してはいないか? 自分の感情と向き合うことを避けてはいないか? 多忙のあまり医者にかかれていないということはないか?
ストレスを抱える患者に対しては、ほぼ全員にこう伝える。フェイスブックのグループやソーシャルメディアのフィードから離れなさい、と。彼らにとっては意外なことだが、性別発表や華やかな赤ちゃんの写真、出産報告など、もし自身がすでに苦しんでいる状況なら、そうしたコンテンツは良い影響を与えない。それは不安を煽(あお)る燃料であり、自信を失う近道となる。ストレス自体は現実に存在するものだが、自分からそれを断ち切ることは可能だ。
効果をもたらす基本事項
睡眠はテストステロンの生成に影響を与える。そしてテストステロンは精子の発達に不可欠だ。ほとんどの男性は7~9時間の睡眠を必要とする。それより少ない睡眠を継続的にとっていると、単なる疲労にとどまらず、ホルモンバランスの乱れを招くことになる。
定期的な運動はホルモンのバランスを整え、コルチゾールを減らし、健康的な体重を維持するのに役立つ。激しい運動を行う必要はない。ジムでハードにトレーニングするよりも、継続して体を動かすことの方が重要だ。
過体重は男性のエストロゲン値を上昇させ、テストステロンを抑制し、精子生成を促すホルモンシグナルを乱す可能性がある。わずかな減量でも、状況を好転させることができる。
ニコチン、マリフアナ、過度のアルコール摂取は、いずれも精子数の減少、運動率の低下、形態異常と関連している。これらを減らすことは男性が実践できる最も直接的な改善策の一つだ。
栄養も重要だ。加工食品が多く、抗酸化物質が少ない食事では、健康な精子を生成するために必要な栄養素を体に供給できない。加工食品を減らし、自然食品を増やす——複雑な話ではない。
男性の不妊は全身の健康に関わる問題
慢性的なストレスが体を蝕んでいる場合、不妊はその影響の一つとして現れている可能性がある。
男性がストレスの影響をより深く理解すれば、その分生殖能力の問題にも早めに向き合える。全身の健康における重要な要素として、それを捉え始めることが可能になる。
男性の生殖能力とは単に精子を作るということだけではなく、それを作る人の健康そのものに関わる問題だと言える。
◇
ジャミン・ブラムバット博士は、米フロリダ州の地域医療センター、オーランド・ヘルスに所属する泌尿器科医兼ロボット手術専門医であり、セントラルフロリダ大学医学部の助教授を務めている。

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