「ステーブルコインは通貨か」FRBがマネーサプライへの算入可否を分析

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この記事の要点

  • FRBがステーブルコインのマネーサプライ算入を分析する論文公表
  • 用途に応じM1・M2に分類可能、通貨統計の定義見直しへ

まずはステーブルコインを詳しく

ステーブルコインは「お金」か、FRBが分類検討

FRB(米連邦準備制度理事会)は2026年9月4日、トークン化預金やステーブルコインなど新たなデジタル資産を、米国のマネーサプライ統計へどう組み込むかを分析したスタッフ論文を公表しました。

同論文はトークン化預金、トークン化マネーマーケットファンド(MMF)、決済用ステーブルコインの3資産を対象に、それぞれを既存のマネーサプライ統計でどう扱うべきかを分析しています。

米国のマネーサプライ統計では、現金や普通預金など支払いにすぐ使えるお金を「M1」M1に定期預金やMMFなど短期の貯蓄に使われる資産を加えたものを「M2」として集計しています。

トークン化預金とトークン化MMFはすでにM1またはM2に含まれる一方、決済用ステーブルコインは現時点で対象外となっており、論文はステーブルコインについて、主な用途が支払いならM1、短期の価値貯蔵ならM2へ算入できる可能性を示しています。

決済か価値貯蔵か、ステーブルコインの通貨分類基準

預金とMMFはすでに統計の対象

論文は、トークン化預金、トークン化MMF、決済用ステーブルコインについて、交換手段と価値貯蔵のどちらに当たるかを判定し、データの入手方法や報告体制、二重計上、流通地域を踏まえて統計への算入可否を検討する手法を示しました。

このうちトークン化預金は、銀行間決済や資金管理に日常的に使われることから、交換手段としてM1にすでに含まれていると整理しています。

銀行からFRBへ提出される既存の報告にはトークン化預金も従来の預金と区別せず計上されており、新たな集計体制を設ける必要はなく、二重計上のリスクもないと説明しています。

トークン化MMFについても現在はM2に含まれているとした一方、決済や送金など交換手段としての利用が中心になれば、M1への再分類を検討できるとの見方を示しました。

二重計上と越境流通、ステーブルコイン算入の壁

決済用ステーブルコインについては、現在の仮想通貨取引で売買資金の保管や短期の価値貯蔵に使われている実態を踏まえ、現状ではM2への算入が適していると分析しました。

一方、日常の買い物や企業間決済などで利用が広がれば、即時決済が可能な性質から、交換手段としてM1に算入することも考えられるとしています。

ただし、準備資産となる銀行預金やMMFはすでにマネーサプライ統計に含まれるため二重計上を避ける必要があり、世界中を流通するステーブルコインから米国内の流通分を切り分けることも課題に挙げました。

GENIUS法の月次報告がデータ収集の柱に

ステーブルコインの流通量を把握する方法として、論文は2025年7月に成立した連邦のステーブルコイン規制法「GENIUS(ジーニアス)法」が発行者に義務づける準備資産の月次報告を、必要なデータを収集するための基盤として挙げています。

一方で、FRBの統計に組み込むには、発行者が流通量を統一形式で報告するための追加指針に加え、FRBへ直接提出するか、OCCなどの規制当局を経由するかといった報告経路の整理が必要だと指摘しました。

論文は結論として、ブロックチェーン型の通貨的資産の普及に応じてマネーサプライ統計の定義を継続的に検証し、データ収集方法の更新や当局間での報告基準の統一を進める必要があるとの見解を示しています。

GENIUS法の規則案が出揃い、報告制度の具体化へ

GENIUS法をめぐっては、OCC(通貨監督庁)が2026年3月、FDIC(連邦預金保険公社)が同年4月に、ステーブルコイン発行者に課す要件などを定める規則案をそれぞれ公表しました。

財務省も2026年8月17日に発行・販売に関する規則案を公表し、2027年1月18日の施行予定日に向けて各当局によるルールづくりが進んでいます。

ただし記事執筆時点ではいずれも規則案の段階にあり、ステーブルコイン発行者に課す報告要件やデータの提出方法は、今後の最終規則で定められることになります。

今後、GENIUS法に基づく報告制度の整備が進むなかで、FRBが決済用ステーブルコインをM1またはM2のどちらに算入するかが検討されていく見通しです。

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Source:FRB FEDS Notes
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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