サイコパスは悲しみを感じると、「怒り」へと注意を逸らす”異常な感情調整”を行う

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サイコパスは本当に「感情がない」のか?

サイコパスと聞くと、「冷酷で感情が欠けている人」という印象を持つ人は多いでしょう。

心理学でも長いあいだ、この考え方が有力でした。

「サイコパシーの人は悲しみや恐怖といった感情そのものが弱く、他人の苦しみにも反応しにくい」という説です。

しかし近年、この説明だけではうまく理解できない研究結果も出てきました。

そこで注目されているのが、「サイコパシー傾向の高い人もネガティブな感情そのものは感じているものの、それが不快であるため、無意識に注意をそらして影響を弱めている」という仮説です。

今回の研究は、この2つの見方のどちらがより実態に近いのかを調べるために行われました。

研究では、アメリカ中西部の刑務所に収容されている18歳から45歳の男性94人が対象になりました。

まず参加者は、「サイコパシー・チェックリスト改訂版(PCL-R)」という評価法で、サイコパシー傾向の強さを調べられました。

その後、現在の感情状態を自己申告で答えたうえで、「ドットプローブ課題」と呼ばれる実験に取り組みます。

この課題では、画面上に「悲しい顔」や「怒った顔」などの感情表情と、無表情の顔が一瞬だけ並んで表示されます。

その直後に、どちらかの位置に記号が現れ、参加者はできるだけ早く反応します。

この方法のポイントは、人が無意識に見ていた位置には素早く反応しやすいことです。

つまり、反応速度を比べれば、その人の注意がどの表情に向いていたのかを推定できます。

言い換えれば、「その人の目や心が、どの感情に引き寄せられていたのか」を探る実験です。

さらに研究者たちは、その後に「悲しみ誘導」を行いました。

参加者に、自分が過去にとても悲しかった出来事を思い出して語ってもらい、悲しい気分になってもらったのです。

そしてその直後に、もう一度同じ課題を行いました。

ここで重要なのは、研究者たちが「ふだんの注意のクセ」だけでなく、「悲しみを感じた後に注意の向きがどう変わるか」を見ようとしていたことです。

結果は興味深いものでした。

サイコパシー傾向の高い人も、悲しみ誘導のあとにはネガティブな感情が増えていました。

しかも、その増え方は大きい傾向がありました。

少なくとも今回の結果は、「そもそも悲しみを感じていない」という単純な説明には合いません。

では、何が違っていたのでしょうか。

答えは、悲しみを感じたあとの「注意の動き」にありました。

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