クラリティ法案が上院委員会を通過|民主党は賛否で分裂、本会議へ課題残る

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この記事の要点

  • 米上院銀行委員会がCLARITY法案を15対9で可決、本会議審議へ前進
  • 本会議は60票が必要、倫理規定などの調整が今後の交渉材料に

上院銀行委、CLARITY法案を15対9で可決

米上院銀行委員会は2026年5月14日、仮想通貨市場の規制枠組みを定める「CLARITY(クラリティ)法案」を15対9の賛成多数で可決しました。

今回の可決によって、デジタル資産をSEC(米証券取引委員会)CFTC(米商品先物取引委員会)のどちらが管轄するかを法律上整理する枠組みが、上院本会議での審議段階へ進む形となっています。

仮想通貨取引所や投資関連事業者にとっては、規制上の解釈に依存してきた事業運営について、法的根拠を伴う市場制度の整備が前進した形となりました。

次の焦点は5月末から6月にかけて見込まれている上院本会議での採決となりますが、農業委員会で並行審議されてきた関連法案との統合作業に加え、可決に必要な60票の確保へ向けた与野党調整が続いています。

委員会で与野党応酬、民主党は賛否で分裂

スコット委員長「普通の米国民の側に」

委員会を主導したティム・スコット委員長(共和党・サウスカロライナ州)は冒頭発言で「CLARITY法案は伝統的金融と新技術のどちらにも、共和党と民主党のどちらにも与せず、普通のアメリカ人の側に立つものだ」と述べました。

同委員長は、法案によってデジタル資産市場を規制の空白領域から、より安全で公正かつ透明性を備えた制度下へ移行させる考えを示し、今回の可決が約1年に及ぶ超党派交渉の成果だとも強調しました。

今回の採決では、共和党議員からデジタル資産市場への前向きな見方を示す発言も出ています。

共和党のバーニー・モレノ議員は、2016年に約3,000ドルで購入したビットコイン(BTC)を手放したことを今も後悔していると語り、仮想通貨市場の成長可能性に期待を示しています。

ウォーレン議員「業界のための法案」と批判

一方で民主党内では、法案によって既存の証券規制が弱まることへの警戒感も広がっています。

エリザベス・ウォーレン議員(民主党・マサチューセッツ州)は「CLARITY法案を仮想通貨業界によって書かれた業界のための法案だ」と批判しました。

ウォーレン議員は、この法案は「準備が整っていない」と訴えたうえで、1929年以来投資家保護の基盤となってきた証券法に抜け穴を生じさせる内容だと指摘しています。

また同議員は、仮想通貨規制を最優先課題と考える有権者は限定的だとの見方も示しています。調査では、最重要課題として挙げた回答者が1%にとどまったとして、現時点で法案審議を急ぐ必要性に疑問を呈しました。

そのうえでウォーレン議員は、法案には資金洗浄や国家安全保障リスクへの対応が十分に盛り込まれていないと主張し、財務省がイランによる仮想通貨の悪用について警告を発したばかりだと訴えています。

同じく安全保障の観点からは、ジャック・リード議員(民主党・ロードアイランド州)も、イランがステーブルコインを使って無人機の部品調達や制裁回避を進めていると指摘しました。

リード議員のほか、ティナ・スミス議員、ラファエル・ワーノック議員、クリス・ヴァン・ホーレン議員らも反対票を投じています。

民主党2議員、条件付きで賛成に回る

一方で民主党内でも対応は分かれており、一部議員は修正協議の継続を条件に法案への賛成票を投じました。

アンジェラ・アルソブルックス議員(民主党・メリーランド州)は、トム・ティリス議員(共和党・ノースカロライナ州)と協力してステーブルコインの利回り規定をめぐる妥協案を策定したうえで、委員会での賛成票を投じました。

ただし同議員は「委員会での賛成が本会議での賛成を意味するわけではない」と明言し、政府高官と仮想通貨業界の利益相反を禁じる倫理規定が明記されない限り本会議では支持できないとの立場を示しています。

ルーベン・ガレゴ議員(民主党・アリゾナ州)も委員会では賛成に回りましたが、本会議での最終判断については今後の修正協議を見極める必要があるとしており、民主党内ではなお慎重論が残っています。

本会議は60票の壁、与野党協議が続く

欧州(EU)ではMiCA規制が2024年末から順次施行され、米国でも2025年にステーブルコイン発行を規制するGENIUS(ジーニアス)法が成立するなど、主要市場でデジタル資産規制の法整備が進んでいます。

CLARITY法案は、GENIUS法と並行して審議が進められてきた市場構造関連法案であり、デジタル資産市場における監督権限や事業者規制の整理を目的としています。

本会議へ進む前には、農業委員会で並行審議されてきたデジタル商品仲介業者法(DCIA)との統合作業が必要となっており、その後に上院多数党が本会議の日程を設定する流れとなります。

本会議での通過には60票が必要となっており、現時点では9人の民主党議員が反対票を投じています。

可決に向けては、政府高官と仮想通貨業界の利益相反をめぐる倫理規定や資金洗浄対策の水準などが主要な交渉材料として残っており、ホワイトハウスは7月4日の米独立記念日までの署名を目標に掲げるなかで、与野党間の協議が続いています。

CLARITY法案をめぐる今後の協議は、米国におけるデジタル資産規制の制度設計や監督権限のあり方を左右する動きとして大きな注目を集めています。

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Source:米上院銀行委員会 / ウォーレン議員冒頭発言
サムネイル:AIによる生成画像

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