キーウ(CNN) ロシアは依然、兵力の大部分を集中させているウクライナ東部ドネツク州でじりじり前進しており、「要塞(ようさい)地帯」を構成するコンスタンチノフカやリマンといった都市を包囲する試みを続けている。
ただ、CNNの取材に応じた外部の専門家やウクライナ兵は、ロシアの進軍に関する主張は誇張されていると指摘。ロシア国内への最近のウクライナ軍の攻撃の影響を打ち消すため、クレムリン(ロシア大統領府)がこのタイミングで成功を演出しようとしている可能性が高いとの見方を示した。
ロシアの国営タス通信は22日、ロシア軍がコンスタンチノフカ東部を「完全制圧」し、北東郊に迫ったと報じた。
米シンクタンクの戦争研究所(ISW)によると、実際にはコンスタンチノフカの一部は争奪戦が続く「グレーゾーン」となっており、どちらの側の支配下にも入っていない。
ISWロシアチームのリーダーを務めるカテリーナ・ステパネンコ氏は「これは潜入行為であって、前進ではない。おそらく1~2人のロシア兵のグループが、市内の一部の拠点に侵入しているのだろう。確固とした陣地ではない」と説明。遅々として進まない骨の折れる戦術だと形容し、「実際に確固たる陣地を固めるにはまだ相当な時間とリソースが必要だ」との見方を示した。
前線のウクライナ兵はCNNに対し、現地の状況は悪化しつつあるものの対処可能であり、ロシア軍の動きは依然極めて遅いと証言した。
近隣のチャシブヤールで戦闘を続けるウクライナ軍第24機械化旅団の報道官は23日、CNNの取材に「コンスタンチノフカ戦区、特にコンスタンチノフカ市の状況はここ数週間で著しく悪化している」「敵はこの戦区で空爆の頻度を増やしている」と語った。

ロシアによるドネツク州制圧に向けた攻勢が続く中、ドネツク州の町の住民が装甲車に乗って避難する様子=6月22日/Anatolii Stepanov/Reuters
ロシアの狙いはウクライナのドンバス地域全体を制圧することにある。ドンバスには工業都市や鉄道、道路からなる「要塞地帯」があり、国の防衛の要をなすとともに、前線への補給を担っている。コンスタンチノフカや周辺集落の奪取も目標に含まれており、これが現時点でのロシアの主要目標となっているように見える。
ただウクライナ軍の報道官は、この地域のウクライナ軍はロシア兵の殺害や装備の破壊を行い、「圧倒的に優勢な敵の部隊を食い止めている」とも付け加えた。
ロシアの戦略は、前線の進軍で生き延びたごく少数の歩兵グループを都市に潜入させるというものだ。ロシアは今年に入りウクライナの都市ポクロウスクを制圧した際も、同様の戦術を使用。この戦闘ではロシア軍が最初に市内に潜入してから数カ月にわたって戦闘が続き、早まった制圧宣言が何度も出された。
ウクライナ陸軍第19軍団の副司令官代行は先週、国営放送局ススピーリネのインタビューで、ロシア兵がひとりで前進してくる様子をウクライナ軍が目撃したケースもあると語った。
CNNは現地の状況を独自に確認できていない。
ロシアが潜入作戦を強化しているのにはいくつか理由がある。ロシア軍の指揮官の1人は23日、SNSテレグラムに、夏の緑を隠れみのにして部隊が前進できたと投稿した。天候が良くドローン(無人機)が飛行しやすい状況が生まれている面もあるが、これはウクライナ側にも当てはまる。
クレムリンが今年9月をドンバス制圧の期限に設定したとの情報もある。ただしISWは、ロシアがこの目標を達成できる可能性は低いと分析している。
ISWのステパネンコ氏は「最も重要なのは、彼らが情報戦における勝利を宣言したがっているということだ。ロシアは目下、かなりの弱みを抱えている」と指摘。占領下のクリミア半島やヘルソンなどへ行われたウクライナ軍の最近のインフラ攻撃を挙げた。「潜入作戦は実際には目標を完全達成することなく、大々的な勝利宣言を行うロシアの方策の一つだ」
もっとも、ロシアの進軍の主張には虚偽が混じっている可能性が高い。ISWによると、「ロシアの当局者はこのところ、ドネツク州の『要塞地帯』付近でのロシア軍の戦果を一段と誇張するため、AI(人工知能)で改変されたとおぼしい映像を利用したキャンペーンを強化している」という。
例えば、ロシア国防省はリマンで旗を掲げる自軍の動画を公開したが、ISWはこの映像について確認できなかったことを明らかにし、「AIで改変された可能性があると考える理由がある」と付け加えた。
ウクライナ軍の報道官が地元メディアとのインタビューで明らかにしたところによると、リマンに展開するウクライナ軍は実際、特に街の北郊で「活動の著しい強化」を目の当たりにしている。ただこの報道官は、ウクライナ軍はロシア軍を押し返すことに成功しているとも主張した。
ウクライナ軍の報道官はススピーリネに対し、この地域のロシアの兵站(へいたん)網が攻撃を受けた後、「(ロシア軍は)燃料や潤滑油の供給を含む兵站(へいたん)の状況から深刻な影響が出る前に、何らかの成果を上げようとしているように見える」と語った。

2 時間前
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