(CNN) リアーナが妊娠中のファッションの常識を変えて以降、マタニティーウェア――少なくとも妊婦はこういう服を着るべきだという期待――は永遠に変わったと、誰もが好んで語る。何しろリアーナは、3人の子どもを妊娠していた際、妊娠していなければ着ていたであろう服をそのまま着用していたからだ。ウエストがゴムの服や地味なスモックではなく、レースのボディースーツやコルセット、クロップトップ、ミニスカートといった衣装に身を包む姿が見られた。
今や膨らんだお腹(なか)は、れっきとしたレッドカーペットの「アクセサリー」となった。セレブリティーたちは、2022年のカンヌ国際映画祭でアドリアナ・リマが見せたように、肌に密着するドレスの鍵穴状のカットアウトからお腹をのぞかせる。23年の映画「カラーパープル」のプレミアにおけるシアラのようにお腹を金箔(きんぱく)で飾ることもあれば、同年の「ヴォーグ・ワールド」で妊娠を公表したシエナ・ミラーのように、スキャパレリのボリュームあるツーピースでお腹を囲むように見せることもある。
一方、人々の購買習慣にも変化が見られる。ファッション検索プラットフォーム「リスト」のデータによると、マタニティーウェアの検索数は最大45%も減少した。我々は今、個人の好みやアイデンティティーが主導する、マタニティーファッションの新時代を迎えているのだ。「万歳!」と思いきや、果たして本当にそうだろうか。
米カリフォルニア州バーバンクで行われた映画「オークストリートの異変」のプレミアで、アン・ハサウェイが披露した最新のレッドカーペット衣装への反応を見る限り、そうとも言えないようだ。
ハサウェイは、プラバル・グルンがカスタムデザインした気品のあるスカイブルーのハイネックトップスで登場した。そこには長く流れるようなトレーンと、対照的な赤の裏地が施されていた。それに合わせたのは、ラリーニュのカジュアルなローライズのノンマタニティージーンズで、お腹のすぐ下をかすめる位置ではいていた。
第3子を妊娠中のハサウェイは、43歳という年齢に触れ、この赤ちゃんをバスケットボールの試合終了間際に放つシュートになぞらえて「ブザービーター」と呼んでいる。これまで映画「オデュッセイア」のプロモーションツアーでは、プラダやディオールのゆったりしたエンパイアラインのドレスや、アシュリンといった新鋭ブランドの肌を覆うジャージードレスなど、より控えめな装いを選んできた。だが今月初め、お腹の下3分の1ほどを露出したところ、ネット上では一部の人々から、その服装を問題視する声が上がった。

アン・ハサウェイ。プラバル・グルンによる特注のシルク製ホルタートップと、ラリーニュのジーンズを着用している/Valerie Macon/AFP/Getty Images

ハサウェイは翌日、レインというブランドのおなかを見せた黒いトップスを着用していた/PG/Bauer-Griffin/GC Images/Getty Images
ハサウェイのお腹を見せた姿が拡散するにつれ、人生でもとりわけデリケートな時期にある女性の外見を平然と批評する人がいることも明らかになった。中でもひときわ声高で奇妙だったのが、ハサウェイが偽物のお腹を使って妊娠を偽装しているとする主張だった。こうした説も、18世紀の英国であれば多少は説得力を持ったかもしれない。当時は偽物の膨らんだお腹が流行し、ドレスの下で妊婦のお腹のように見せるための「パッド」が売られ、誰でも身につけることができたからだ。
だがハサウェイは意に介さず、翌日にはテレビ番組「ジミー・キンメル・ライブ!」の収録に、お腹を見せた別の装いで登場した。パパラッチに手を振るハサウェイのお腹は、レインというブランドの黒いフリルが滝のように流れ落ちるデザインで覆われていた。さらに最新のインスタグラム投稿でも、「髪は偽物、お腹は本物」とキャプションを添え、ネット上の陰謀論を逆手に取った。
とはいえ、26年になってもなお、妊婦のレッドカーペット衣装をめぐってこれほどの批判が起きるのは驚きだ。少なくともこの出来事は、妊娠中のファッションに対する新しく進歩的な考え方が、実際にはまだ始まったばかりであることを物語っている。

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