LGBT「プライド月間」に陰り 企業が支援縮小 保守派、6月のイメージを刷新

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2025年6月7日、ワシントンで行われた世界プライドパレードで、参加者はアメリカ合衆国議会議事堂を背景に大きなプライド旗を掲げています。(AP写真/マーク・シーフェルバイン)

2025年6月7日、ワシントンで行われた世界プライドパレードで、参加者はアメリカ合衆国議会議事堂を背景に大きなプライド旗を掲げています。(AP写真/マーク・シーフェルバイン)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Wednesday, June 10, 2026

 6月はLGBTQの権利を啓発するための「プライド月間」だが、これにうんざりしている人々に朗報がある。米国の広い地域で、6月の意味が変わってきている。

 アラバマ州で6月は「強い家族月間」となった。アーカンソー州とユタ州では「貞節月間」、インディアナ州とテネシー州では「核家族月間」が公式名称となっている。

 こうした共和党寄りの州に加え、トランプ政権は2年連続で6月を「タイトル9月間」と位置付けている。タイトル9は1972年6月23日に成立した教育改正法の一部で、教育分野での性差別を禁止している。

 キンバリー・リッチー教育次官補(公民権担当)は6月1日の声明で、「6月の1カ月間、女性たちが何十年もかけて勝ち取った重要な公民権保護と、現代および将来の女性や少女のためにタイトル9の理念を守るトランプ政権の強い決意に光を当てる」と述べた。

 リッチー氏はプライド月間には触れなかったが、その意図は明確だった。共和党や保守派は「プライド」を受け入れることはせず、6月をLGBTQ運動ではなく、伝統的な家族観を祝う月に変えようとしている。

 メアリー・ミラー下院議員(共和党、イリノイ州)は、6月を「家族月間」と定め、下院は「もはやプライド月間を認めない」と宣言する決議案を提出した。

 ミラー氏は6月3日の声明で、「6月を家族月間と認めることで、われわれは『プライド』という虚構を退け、代わりに神による永遠かつ完全な計画をたたえる。本当に国家を再建したいのであれば、その基盤である家族を守り、支え続けるために団結しなければならない」と語った。

 LGBTQ擁護派は6月を巡るこうした動きに反発しており、保守派に別の月を選んで自らの主張を推進するよう求めている。

 ソルトレーク・トリビューン紙のコラムニスト、ゴードン・モンソン氏は6月9日の寄稿で、「8月でも9月でも1月でも好きな時期に貞節月間を設ければいい」と書いた。

 「だが、それを巨大な消しゴムや何かの運動に対抗するための運動として利用してはならない。過去も現在も多くの人々が訴えてきたこと――自分たちも人間であり、社会的に価値があり、平等と尊重を受けるに値し、意見の一致がなくても理解されるべき存在であるという主張――を弱めたり、そこから目を逸らしたりするために利用してはならない」

 これに対し批判派は、LGBTQの人々が「平等と尊重に値する」ことを認めることに問題はないが、ドラッグクイーンによる読み聞かせ会や成人向け色彩の強いプライドパレード、虹色の企業ロゴ、プライド月間関連商品であふれる店舗などは必要とは思わないと主張している。

 保守系団体「家族研究協議会(FRC)」のトニー・パーキンス会長は6月5日の寄稿で、「米国人はプライドパレードを単なる寛容の表現ではなく、社会のあらゆる領域に影響力を及ぼそうとする文化的な示威行為と見るようになっている」と述べた。

 その上で「焦点は、子供にも関係のある性自認政策への懸念だ。ここに、性、結婚、親の権利、文化的権威に関する幅広い議論が集約されている」と指摘した。

■プライド月間の勢いに陰り

 6月に他の月間が設けられるようになっていることは、米国社会などでプライド月間への支持がピークを過ぎた可能性を示している。

 企業はプライド月間関連商品の販売やイベント協賛、広報活動を縮小している。その流れを加速させたのが、2023年のバドライト騒動だった。メーカーのアンハイザー・ブッシュ社はトランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルバニー氏との提携後、市場シェアを大きく落とした。

 大手ディスカウントストア、ターゲットも、女性を自認する男性向けの「(男性器を隠せる構造の)タックフレンドリー」ビキニを巡る2023年の反発を受け、プライド関連商品の展開を縮小した。ペプシコ、マスターカード、小売り大手ウォルマートなども関連イベントへの支援を縮小した。

 LGBTQジャーナリストを育成するための「クィアメディアの未来」プログラムの特別研究員ジャック・ウォーカー氏は、LGBTQ向け雑誌「アウト」の6月5日の記事で「数年前までは、虹色のロゴやプライド関連商品は業界を問わず企業の至る所で見られた。しかし、LGBTQの権利に対する世論の支持が低下し、LGBTQコミュニティーが全国で政治的攻撃にさらされる中、多くの企業はかつての積極的な支援姿勢から後退した」と指摘した。

 同誌は一方で、衣料品大手リーバイス、アウトドア用品販売大手REI、衣料品小売りホットトピックなど、引き続きプライド支援を続ける企業を評価した。

 スポーツ界でも方針転換がみられる。北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)は、一部選手がプライド月間の虹色ユニホーム着用を拒否したことを受け、2023年に特別デザインの試合用ジャージーを禁止した。また、スポーツメディア、アウトキックによると、米プロフットボールリーグ(NFL)の9チームは6月1日にプライド月間を祝う投稿を行わなかった。

 一方、テキサス・レンジャーズは依然、米大リーグ(MLB)で唯一「プライドナイト」を開催していない。同球団は代わりに「信仰と家族の夜」を開催している。

 この問題に関しては、政治家や企業が世論を主導しているというより、世論の変化に追随していると見るべきだろう。

 先週発表されたギャラップの年次「価値観と信念」調査によると、同性婚や同性愛への支持は2022年の過去最高水準から低下している。

 同性婚を合法とすべきだと考える米国人の割合は、2022年の71%から2026年には65%へ低下した。同性愛が「道徳的に容認できる」と答えた割合も71%から62%へ下がった。

 2021年には、性別変更が「道徳的に容認できる」と答えた人は46%だったが、今年は38%まで低下した。

 ギャラップは6月4日、「約20年間にわたり、米国人はLGBTQの人々をより受け入れ、その公民権をより支持するようになってきた。その一方で、こうしたLGBTQ支持の姿勢は約5年前にピークを迎え、その後は主として共和党支持者の間で低下傾向にある」と分析した。

 プライド月間は1999年、当時のクリントン大統領が6月を「ゲイ・レズビアン・プライド月間」と定める宣言を出したことで連邦レベルの認知を得た。その後もバイデン前政権など民主党政権がこの慣行を継続した。

 トランプ大統領はプライド月間に関する宣言を出していない。就任直後には国務省が「ワンフラッグ政策」を発表し、米大使館で掲揚可能な旗を指定した。

 その対象に虹色のプライド旗は含まれていない。

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