
この記事の要点
- ヘイズ氏、AnthropicのIPOで83%の希薄化圧力を試算
- 社債悪化によるドル流動性減少でBTCにも波及と警告
大型IPOによる株価下落、BTC市場にも波及か
仮想通貨取引所BitMEXの共同創設者であるアーサー・ヘイズ氏は2026年11月5日、自身のブログ、SpaceX・Anthropic(アンソロピック)・OpenAIの大型IPOに伴う株式供給の増加が、株価下落や金融市場の混乱を招く可能性があるとの見方を示しました。
ヘイズ氏の試算によると、アンソロピックのIPO時に株式を購入した投資家は2027年6月までに83%相当の希薄化圧力に直面するとされ、想定時価総額1兆5,000億ドル(約240兆円)を前提とした株価維持には約1兆2,450億ドル(約195兆円)の追加資金が必要になるとしています。
同氏は、3社の株価低迷がAI関連社債の信用力低下を招き、米銀行のバランスシート縮小によってドル流動性が減少することで、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨市場にも売り圧力が波及するとの分析を展開しています。
一方、金融市場の混乱が深刻化すれば中央銀行が資金供給に踏み切ると予想しており、その局面ではビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)に追い風が吹くとの見通しも示しました。
「4年サイクル終了」27年最高値更新へ
大型IPO3社の株式供給増加、AI市場に下落圧力
SpaceXは流通株50%増、アンソロピックは83%希薄化を試算
ヘイズ氏は、3社のIPO後に創業者や初期投資家などの保有株式が段階的に売却可能となり、株式の供給増加が市場の買い需要を上回ることで、株価に下落圧力がかかると予想しています。
SpaceX(SPCX)については、IPO以降の株価がほぼ横ばいで推移するなか、流通株式数はすでに50%増加しており、2027年6月末までに約86億株が新たにロックアップ解除され、さらに約50%の供給増加が見込まれると試算しました。
アンソロピックについては、2026年10月26日に米証券取引委員会(SEC)へ提出された上場登録届出書をもとに、2027年6月までに83%相当の希薄化圧力が生じ、IPO時の株価を維持するには約1兆2,450億ドルの追加資金が必要になると算出しています。
まだ上場条件が確定していないOpenAIについても、評価額1兆2,500億ドル(約200兆円)で200億ドル(約3.2兆円)の調達を目指しているとの報道を踏まえ、仮に2027年1月に上場すれば、先行2社と同様の株式供給増加による株価下落リスクに直面すると予測しています。
「横ばいは下落」社債市場にも影響拡大か
株価低迷による影響は株式市場にとどまらず、3社が巨額のデータセンター投資を継続するために必要な社債市場からの資金調達にも及ぶとヘイズ氏は指摘しています。
株価が公開価格付近で停滞するだけでも、債券投資家がより高い利回りを要求し、社債の発行コストが上昇すると予想しており、この構図を「横ばいは下落」と表現しました。
3社の信用力については、SpaceXの社債が投資適格格付けを維持するのは難しく、アンソロピックとOpenAIの社債も投機的格付け(ジャンク債)を免れないとの見方を示しています。
AI関連社債の信用スプレッドが拡大すれば、その影響は計算資源を提供するハイパースケーラーや半導体企業にも波及し、AI産業全体の資金調達を圧迫するとヘイズ氏は警告しました。
米銀行の資産減少、BTCへの売り圧力を警戒
ヘイズ氏は、AI関連社債の信用スプレッド拡大が米銀行にも影響を及ぼすとみており、企業融資や証券担保融資などの金融活動が縮小することで、銀行のバランスシートが横ばいか縮小に向かうと予想しています。
同氏によれば、FRB(米連邦準備制度理事会)が積極的なバランスシート拡大に動かないなか、2026年8月から続いた仮想通貨の小幅な上昇は、米銀行の資産拡大によって支えられてきました。
その米銀行については、直近の商業銀行の総資産が前週比で減少に転じたと指摘し、1週間分のデータだけでは傾向を判断できないとしながらも、AI関連の信用市場に対する懸念と重なる点を警戒しています。
銀行のバランスシート縮小が続けば、仮想通貨市場を支えてきたドル流動性が減少し、ビットコイン(BTC)などの価格にも下押し圧力が及ぶとの見方を示しました。
弱気予測に投資家3人が賭けで反論
BTC保有者に「辛抱」を呼びかけ
AI関連の大型IPOが仮想通貨市場に与える影響については、SBIホールディングスの北尾吉孝氏も2026年6月、SpaceX・アンソロピック・OpenAIの株式取得に向けた機関投資家の資金確保が、仮想通貨市場の下落につながっているとの見方を示しました。
北尾氏が上場前の資金移動に着目したのに対し、ヘイズ氏は上場後の株価低迷が信用市場を通じて金融システム全体に波及するリスクを警戒しています。
同氏は、AI関連投資がデータセンター建設国から半導体や原材料の輸出国まで世界経済に深く組み込まれていることから、信用市場の混乱が金融危機へ発展すれば、各国の中央銀行や財政当局が資金供給に踏み切ると予想しています。
こうした資金供給が実現すればビットコインなどの仮想通貨には追い風になるとの見方を示す一方、ヘイズ氏がCIOを務める投資会社Maelstromは当面の様子見を続ける方針で、投資家に対して「辛抱が必要だ」と呼びかけました。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.39 円)
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Source:アーサー・ヘイズ氏ブログ
サムネイル:AIによる生成画像

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