韓国当局、保守系米国人を出国禁止に 李大統領への名誉棄損で起訴

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韓国の李在明大統領は、2026年1月7日(水)、中国・上海で韓国メディア関係者との会合で発言した。(ハン・サンギュン/聯合ニュース提供、AP通信経由)

韓国の李在明大統領は、2026年1月7日(水)、中国・上海で韓国メディア関係者との会合で発言した。(ハン・サンギュン/聯合ニュース提供、AP通信経由)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Tuesday, August 4, 2026

 【ソウル】トランプ米政権で外交官を務めたモース・タン氏(52)が、韓国の李在明大統領(62)に対する名誉毀損(きそん)の罪で起訴された事件で、韓国の裁判所は、公判が終わるまで同氏の出国を認めない判断を下した。

 トランプ第1次政権で国際刑事司法担当大使を務めたタン氏は、2025年6月にワシントンで開いた記者会見で、李氏が中学生時代に殺人事件に関与し、その事実が隠蔽されたと主張したとして、韓国の名誉毀損法に基づき起訴された。

 バージニア州リバティー大学法科大学院の元院長でもあるタン氏は、韓国の選挙監視のため今年5月に訪韓した際、当局から事情聴取を受けた。その後、7月16日に起訴され、ソウルの裁判所は「米国へ出国すれば再び韓国に戻らない恐れがある」として、出国禁止措置の解除請求を31日に棄却した。次回公判は9月に予定されている。

 保守派の法学教授であるタン氏は、韓国をたびたび訪れ、キリスト教プロテスタントの教会で講演したり、収監中の尹錫悦前大統領の支持集会に参加したりしてきた。その活動は、韓国での政治的混乱の中でも続けられてきた。

 強硬な反共主義者で安全保障重視派だった尹被告は、2024年12月、戒厳令を宣布したことで政治生命を絶たれた。当時、野党が支配する国会と中央選挙管理委員会を特殊部隊で制圧しようとしたが失敗した。尹被告は、これらの機関が中国など外国勢力の影響を受けていると疑っていたとされる。

 過去の権威主義体制を想起させるこの措置に市民や国会議員は激しく反発し、戒厳令は数時間で解除された。尹被告は弾劾され、その後の2025年6月の大統領選で革新系「共に民主党」の李氏が勝利し、政権を掌握した。

 尹被告は現在、内乱罪で終身刑に服している。

 世論調査では李氏の勝利が事前に予想されており、大半の韓国国民は選挙結果を受け入れている。ただ、保守派の一部はなお結果を認めず、このところは縮小しているものの抗議集会を続けている。

 タン氏は最近、ワシントン・タイムズとのインタビューで、李政権への批判は長年続く米韓同盟に危険な亀裂が生じているとの認識に基づくものだと語った。

 「私が最も関心を持っているのは米韓同盟だ。両国民のことを懸念している」と述べた。

 また、「自由民主主義国家の韓国が共産主義を受け入れつつあるという私の主張は、常識外れに聞こえるだろう」とした上で、「韓国は急速に共産化が進んでいる。独裁体制が形成されつつある」と主張した。

 さらに、韓国は「中国共産党による本格的なハイブリッド戦争」の標的になっていると述べた。

 標的は国会議員や裁判官にも及ぶとし、「エリート層の取り込みはハイブリッド戦争の一環だ。通常は買収、脅迫、恐喝によって行われる」と語った。

 李氏と共に民主党は、大統領府と国会という韓国政治の2つの権力中枢を掌握している。一方、タン氏が選挙監視のため訪韓した昨年6月の大統領選では、主に保守系への支持が強い地域にある91カ所の投票所で投票用紙が不足し、同氏は不公正選挙への疑念が高まったことも問題視していた。

 タン氏はまた、表現の自由や信教の自由にも懸念を示した。

 今年7月7日に成立したフェイクニュース拡散防止法は、言論や報道の自由を擁護する団体から強い反発を招いている。

 さらに、「教会解散法」と通称される法案も審議中で、成立すれば牧師への監督強化や宗教団体の解散が可能になる恐れがあるという。

 タン氏は、ワシントンで李氏が中学生時代に安東ダム近くで起きた強姦殺人事件に関与したと発言したとして、有罪となれば禁錮刑を科される可能性がある。

 こうした李氏に関する疑惑はタン氏の発言以前からインターネット上で流布していたが、複数のファクトチェック機関は虚偽だと結論付けている。

 これに対しタン氏は、李氏を断定的に非難したのではなく、2025年6月にワシントンのナショナル・プレスクラブで質問を受けた際、他者による主張を紹介しただけだと反論した。

 「米国民が米国の土地で公人について発言することは、米国憲法修正第1条が最も強く保障する言論の自由に含まれる。韓国の裁判所が管轄権を主張するのは完全に誤りだ」と述べた。

 さらに、「その論理を当てはめれば、韓国国内でトランプ氏を批判した韓国人も、米国を訪れた際に訴追されることになる」と主張した。

 また、韓国メディアで報じられたように警察の出頭要請を拒否した事実はなく、実際には出頭した上で黙秘権を行使したと説明した。

 タン氏はさらに、「この殺人事件については物的証拠、文書証拠、証言、状況証拠を持っている」と主張し、「裁判になれば、弁護士とともに、それらの証拠が事件の発生を示していることを立証するつもりだ」と述べた。

 一方、李氏自身はこの騒動について直接コメントしていない。共に民主党報道官もワシントン・タイムズの取材に回答しなかった。

 皮肉なことに、タン氏に対する告発は保守系団体「自由大韓護国団」が行った。同団体は聯合ニュースに対し、「国家の尊厳を守るためだ」と説明している。

 タン氏やその支持者に批判的な声も少なくない。

 韓国の著名な政治学者で歴代革新政権の顧問を務めた文正仁氏は「彼らの声は限定的だが、強硬保守層には一定の影響力があり、国境を越えた保守連携を築こうとしている」と語った。

 文氏は革新派を代表する論客だが、保守派の中にも、米韓同盟を損なっているのは李政権ではなく、タン氏ら米国保守派だと懸念する声がある。

 19世紀末から韓国に縁を持つ一家の出身でソウル在住の米国人弁護士デービッド・リントン氏は「(タン氏は)キリスト教牧師の言論の自由や選挙の公正性を訴える有力な人物だった」と語る。

 「今回の事件によって、そうした功績がかすんでしまうのは残念だ」と述べた。

 米韓同盟を支援する市民団体代表はさらに厳しい見方を示した。

 「外国人が韓国に来て国民や政府を批判すれば、韓国人が反発するのは当然だ」と匿名を条件に語った。

 韓国軍の元高官でもあるこの人物は、「私は保守だが、彼は必要ない。極右は支持するだろうが、穏健保守は彼の陰謀論を信じない」と批判した。

 それでもタン氏は、自らの主張を撤回する考えはない。

 「私は使命感からこの活動をしている。危険が伴うことは最初から分かっていた」とワシントン・タイムズに語った。

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