
新天地教会の指導者であるイ・マンヒ氏が、2026年6月24日(水)、韓国ソウルのソウル中央地方裁判所に到着した。(イ・ヨンファン/ニューシス提供、AP通信経由)
By Andrew Salmon – The Washington Times – Monday, August 17, 2026
【ソウル】韓国最大の仏教宗派のトップと、朝鮮戦争退役軍人団体の高齢の指導者が、欧州から訪れた専門家らとともに、韓国で信仰と表現の自由に対する攻撃が続いていると訴えた。
8月にソウル中心部のプレスセンターで開かれた会見では、高齢の宗教指導者に対する起訴前勾留、聖職者の政治活動に対する制限、さらに韓国と日本で中国政府の工作員と反宗教活動家、議員が連携する動きについて議論した。
8月7日に開かれた「韓国における信教の自由と表現の自由」と題する会見の後、欧州連合(EU)から訪れた講演者らは会場を出て、韓国国家人権委員会に請願書を提出した。
韓国最大の仏教宗派、大韓仏教曹渓宗の法山僧侶は参加者に「特定の宗教を理由に基本的人権や信教の自由が侵害されてはならず、社会的偏見を正当化してもいけない。民主主義社会は少数派の権利を尊重するときに最も健全になる。全ての人が差別されることなく共存できる社会になることを心から願っている」と述べた。
2人の少数派宗教指導者が、高齢にもかかわらず起訴前勾留を受けている。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁(83)と、「新天地イエス教証しの幕屋聖殿(新天地)」の李萬熙総会長(95)だ。
1954年に韓国で設立された家庭連合と、1984年に韓国で設立された新天地はいずれもキリスト教から派生した団体で、主流派の一部から異端と批判され、反対派からはカルトと呼ばれている。
旧統一教会として知られる家庭連合は、ワシントン・タイムズを含む企業を設立、運営してきた。
「韓国戦争参戦勇士会」ソウル支部を率いるリュ・ジェシク氏は李総会長について、「確かな居住先があり、逃亡の恐れもなく、証拠を破棄できる状態でもない高齢の退役軍人を、刑務所に入れておくことが本当に必要なのか」と問い掛けた。
「どれほど厳格な法的手続きであっても、人間の尊厳や生命に優先することはできない」と付け加えた。
李総会長は脱税や横領のほか、信者に韓国の保守系政党「国民の力」への入党を強要したとして起訴されている。
韓総裁は政治家への贈賄を指示したとされる。弁護側は、贈賄を行ったのは別に起訴された幹部であり、韓総裁の指示ではないと主張している。検察は懲役13年を求刑している。
■教会、国家、司法
ソウルで開かれた会合では、韓国の司法制度における起訴前勾留の在り方にも疑問が呈された。
信教の自由を擁護するフランスのNGO「良心の自由のための団体と個人の連携(CAP‐LC)」のティエリー・ヴァレ会長は、共産主義国でさえ宗教指導者に代替的な措置を取っていると指摘した。香港でカトリックの枢機卿が保釈された例や、ベトナムで仏教の最高指導者が自宅軟禁を認められた例を挙げた。
請願書は、EUでは「高齢の被告に対する起訴前勾留は例外的な措置とみなされ、暴力犯罪が疑われる場合にのみ認められている」と指摘した。
韓国の司法・政治制度に対する批判はこれだけではない。保守派の尹錫悦前大統領が失脚し、2025年6月に就任した革新系の李在明大統領に交代して以降、韓国の司法・政治制度が注目を集めている。
李大統領は広範な捜査を進めており、標的となっている組織の中には保守系の教会も含まれている。
イタリアの新宗教研究センター(CESNUR)のマーク・ネメス副代表は、韓国の鄭成浩法相がSNSへの投稿で、新天地の李総会長について「政教分離という憲法上の原則」に違反したと批判したことに注目した。
ネメス氏は、「鄭法相は政教分離がどのように機能するのかについて独特な理解をしている。宗教学者なら、社会全体に関わる問題は常に宗教の文脈の中で議論されてきたと主張するはずだ」と指摘した。
訪韓した専門家らが韓国政府に提出した請願書は、「聖職者の政治参加に関する韓国の法律は世界でも最も厳しい部類に入り、信者が政治に参加する権利を認める国際的な規範との両立を難しくしている可能性がある」と強調した。
さらに請願書は、「複数の民主主義国では、宗教団体に触発された政党が存在し、米国では現在、聖職者が候補者を支持することを制限する規定の撤廃が検討されている」と記した。
釜山世界路教会の孫炫補牧師の事件は、米国の保守系宗教関係者の間で懸念を呼んでいる。
孫牧師は昨年、教会の礼拝中に李在明大統領を批判する政治的発言をしたとして、公職選挙法に基づき143日間拘束された。2026年1月、執行猶予付き判決を受けて釈放された。
検察は韓総裁についても、10万人の信者に特定政党への入党を強要したと主張していた。しかし、根拠とされた人数が教会員総数を上回っていることが判明すると、検察はこの主張をひそかに取り下げた。
「カルト」や「偽宗教」と呼ばれることが多い新興宗教への敵視も、会見で取り上げられたテーマの一つだった。
人権団体「国境なき人権(HRWF)」のハンス・ヌート副代表は、正統派ではない宗教の信者にも権利があると訴えた。
「信教または信仰の自由、そして表現の自由は民主社会の中心にある。これは特定の団体や事件だけに当てはまるものではない。基本的人権は、世間で不人気な考えや、自分たちの信念に反する考えを持つ人々を含め、全ての人に等しく適用される」と述べた。
CESNUR共同創設者で、宗教の自由を扱う出版物「ビター・ウィンター」の編集長を務めるマッシモ・イントロヴィニエ氏は、「少数派、特に宗教的少数派は通常、3段階で攻撃される」と指摘した。まずメディアによる不寛容、次に行政当局による差別、最後に迫害や暴力だという。
「これは全体主義国家にも民主主義国家にも当てはまる」と警告した。
請願書は、李総会長の事例について、「ある特殊な状況の中で進んでいった。新天地を『カルト』とする報道は、同教会を異端と非難する反宗教勢力による強い主張を基にしていることが多い」と指摘した。
新型コロナウイルスの大流行中、新天地は社会的距離の確保に関する規則に違反したとして批判された。これらの主張は後の裁判で虚偽と判断されたが、現在も広く流布している。
■「不浄な同盟」の形成
6月には、日本の家庭連合の最高裁への特別抗告が退けられ、教団の解散命令が確定した。
家庭連合は法律に違反していなかったにもかかわらず、「公共の福祉を害した」との理由で解散を命じられた。これにより、教団の全財産が差し押さえられ、清算され、職員や聖職者は職を失った。
日本と韓国は司法制度が似ている。韓国は日本統治下の1919~1945年に、日本から法制度を取り入れた。
現在、韓国国会では「教会と国家の癒着防止法」と呼ばれる法案が審議を待っている。非公式には「教会解散法」と呼ばれている。
保守的な家族観を掲げる家庭連合は、以前から共産主義に反対してきた。そのため強力な敵が生まれた。その一部が結集しつつある可能性がある。
日本のリベラルな反家庭連合活動家らは昨年9月、韓国・大田を訪れ、福音派の牧師らと、中国国家警察大学で宗教運動の監督を専門とする教授が参加する会議に出席した。
イントロヴィニエ氏は、こうして生まれつつある3カ国の連携を「不浄な同盟」と呼んでいる。
中国政府は公式には無神論を掲げ、政府が認めた宗教活動だけを許可している。国家機関は地下教会を摘発し、新興宗教である法輪功も弾圧してきた。
2019年には、一部の韓国の強硬派キリスト教聖職者が中国政府と協力し、中国の地下宗教「全能神教会」の信者で、韓国に亡命を求めて逃れてきた人々の強制送還を働き掛けた。
韓国の保守系野党は尹前大統領の失脚後、政権と国会の双方を失って弱体化した。このため、法案に対抗するための政治的手段を欠いている可能性がある。
イントロヴィニエ氏は、現在、最大の発言力を持つ場は米国にあると指摘する。
「米国では、重要な地域同盟国である韓国で起きている問題に対する認識が広がっている」と述べた。

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