金融庁、オンチェーン金融「5分野」の制度設計に着手|2027年初に中間整理

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この記事の要点

  • 金融庁、オンチェーン金融5分野の制度検討を開始
  • 野村とSecuritizeが提言、2027年初に中間整理へ

金融庁研究会、オンチェーン金融5分野を議論

金融庁は2026年10月20日、「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」の令和8事務年度第1回会合を開催し、オンチェーン金融に関する制度整備の検討を開始しました。

対象となるのは、ステーブルコイン・セキュリティトークン(ST)・分散型取引所(DEX)を含む分散型金融(DeFi)・振替制度・証券決済の短縮化という5分野で、ブロックチェーンを活用した金融取引の実用化に向けた課題を議論します。

この検討は、2026年7月に公表された「成長投資を促進するための金融戦略」に基づく「AI時代を見据えたオンチェーン金融イニシアティブ」のもとで進められています。

第1回会合では、野村ホールディングスとSecuritize Japanが関係事業者プレゼンターとして参加し、国内の制度整備に向けた提言を行いました。

金融庁は2027年初に「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の第2回会合を開き、中間整理と官民連携のロードマップを取りまとめる方針です。

トークン化市場拡大と日本の制度課題を議論

トークン化資産5.5兆円超、日本は出遅れ

金融庁が研究会で示した事務局説明資料によると、世界のトークン化資産の累計発行額は2026年7月時点で350億ドル(約5.5兆円)を超えました。

BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)とRipple(リップル)は、世界のトークン化市場が2033年までに18.9兆ドル(約3,000兆円)へ拡大すると予測しており、株式・債券・ファンドなど幅広い金融資産への普及を見込んでいます。

これに対して日本では、セキュリティトークンの発行額が増加しているものの、不動産を裏付け資産とする商品が中心で、国債・社債・投信・株式などの振替証券を対象としたオンチェーン取引は実現に至っていないと金融庁は説明しています。

野村ホールディングスのデジタルアセット戦略推進部長・佐々木俊典氏も、米国がステーブルコインやトークン化預金(TD)、伝統的資産のトークン化で実用化段階に入る一方、日本は「1ステップ遅れ」の実証段階にあるとの認識を示しました。

国内PIP支援は4案件に拡大、証券・銀行間決済でも実証

国内では実用化に向けた実証が進められており、金融庁が2025年11月に設置した「決済高度化プロジェクト(PIP)」の支援案件は4件に拡大しています。

第1号案件では3メガバンクなどが円建て信託型ステーブルコインの共同発行に取り組んでおり、2026年度中の共同発行と実取引開始を目標に掲げています。

証券分野では、野村證券・大和証券・3メガバンクグループによる第2号案件で証券と代金を同時に受け渡すオンチェーン決済(DvP)の実証が始まり、その一環として2026年4月にみずほFG等、同年8月にMUFG等が日本国債の担保取引を対象とする実証に着手しました。

銀行間決済を対象とする第3号案件では、ディーカレットDCP社とGMOあおぞらネット銀行等によるトークン化預金の移転実証に43の地方銀行等が参加を表明し、第4号案件ではトレードワルツ社が3メガバンクのステーブルコインと貿易関係書類を連携させる実証を予定しています。

野村が制度課題10項目、SecuritizeはP2P移転を可能にする法整備を提言

国内で実証案件が増えるなか、野村ホールディングスは振替法に基づく証券のオンチェーン化や金融機関向け決済手段の確立など、実用化に向けた10項目の実務・法制度上の課題を提示しました。

同社は、日銀当座預金や銀行預金のオンチェーン対応を急ぐよう求めたほか、DeFiやウォレット提供者への過度な規制を避け、海外発行ステーブルコインなどの大口利用で制約となる100万円超の保有・移転に関する規制を見直すべきだと主張しています。

証券の移転に関する法整備の必要性はSecuritize Japanも指摘しており、ウォレット間でP2P移転が可能な「分散型(Distributed)」トークン化モデルを想定した制度の導入を求めました。

同社は、2026年9月30日時点の世界のRWAトークン時価総額が390億ドル(約6.2兆円)、過去3年間の年平均成長率(CAGR)が195%に達したことを示し、パブリックブロックチェーンを前提とする制度設計と海外市場との相互運用性の確保が必要だと提言しています。

米国は実用段階、日本は後手で制度整備の検討へ

海外では2025年7月に米国でステーブルコイン規制法「GENIUS法」が成立し、EUでも2024年12月に暗号資産市場規制(MiCA)が全面適用されるなど、デジタル資産に関する制度整備が進んでいます。

証券のトークン化も実証から実用化へ移りつつあり、米DTCCは2026年7月に米国債や株式をトークン化した本番取引の成功を発表し、同年10月のサービス開始を計画しています。

取引所側でも米ナスダックが同年3月にSECからトークン化証券の取引に関する規則改正の承認を受け、ニューヨーク証券取引所(NYSE)も4月に関連する規則改正を届け出るなど、既存の証券市場とブロックチェーンを結び付ける動きが具体化しました。

米国で証券のトークン化に向けた取引基盤や制度の整備が進むなか、日本の研究会では振替法に基づく証券の権利移転や決済手段のオンチェーン対応など、実証から実用化へ移行するための制度的課題が議論されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.55 円)

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Source:金融庁
サムネイル:AIによる生成画像

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