
ベニアミン・コンドラティエフ知事のテレグラムチャンネルが公開した動画から切り取られたこの画像は、2026年4月29日(水)、ロシアのトゥアプセにある石油精製所とターミナルへのドローン攻撃の後、煙が立ち上る様子を捉えたものである。(ベニアミン・コンドラティエフ知事のテレグラムチャンネル提供/AP通信、資料写真)
By Guillaume Ptak – Special to The Washington Times – Wednesday, May 13, 2026
【キーウ(ウクライナ)】約800マイル(約1300キロ)に及ぶ前線では、ウクライナ軍にとって物資不足が日常となっている。弾薬は不足し、睡眠時間はほとんどなく、次の食事が届くかどうかは、ドローンがロシア軍の攻撃をかいくぐって補給物資を届けられるかにかかっている。
しかし、戦時下で重要な要素の1つ「希望」はここ数週間で大きく回復した。兵力で劣るウクライナ軍が、新型兵器と独創的な戦術を駆使し、ロシア軍の春季攻勢を停滞させているためだ。
ウクライナ軍第423独立無人航空機大隊のドローン操縦士イーホル氏は、「状況は少し良くなった」と語る。ロシア軍からの圧力は続いているものの、厳しい冬季攻勢の最悪期ほど一方的ではなくなったという。
こうした変化は戦場の様相にも表れている。ウクライナ軍とロシア軍を隔てる前線は、もはや塹壕や防御陣地だけの細い帯ではない。
ウクライナ政府の支援を受ける防衛技術グループ「ブラベル」のアンドリー・フリツェニューク最高経営責任者(CEO)は、「前線周辺には、いわゆる『キルゾーン』が形成されている。以前は深さ20キロほどと見積もられていた。ここでは、大量のドローン使用により、車両が効果的に活動できない」とワシントン・タイムズ紙に語った。
「ウクライナが中距離攻撃ドローンの使用を拡大し、敵後方への精密攻撃能力を強化していることで、このゾーンは拡大している」
この拡大する「キルゾーン」が、ウクライナ側の慎重な楽観論の中心となっている。
ロシア軍は依然として複数の戦区で主導権を握り、人員やドローン、砲弾を大量投入している。しかし、ウクライナ兵らによると、ロシア軍の攻撃は陣地到達前に妨害・破壊されるケースが増えている。
南部ザポリージャ州では、ロシア軍がフリャイポレ周辺の偵察を行っている。ウクライナ軍司令官らは、ここを州都ザポリージャへ向かう軸の1つと見ている。
第423独立無人航空機大隊の指揮官ビタリー・ヘルサク氏はワシントン・タイムズに、「やつらはザポリージャ方面のルートを断ち切ろうとしている。ロシア軍にとってフリャイポレは直通ルートだ」と語った。
現時点では、ロシア軍は春の草木の繁茂を利用し、歩兵を林沿いに徒歩やオートバイ、四輪バイクで移動させようとしている。しかし、ウクライナ軍ドローン部隊は事前にそうした接近経路を把握していた。
ヘルサク氏は「彼らがどんな編成で侵入してもいいように、われわれは緑が生い茂る前に準備した。敵の通過地点や移動ルートを把握できるよう、その地点を徹底的に調査した」と述べた。
ドネツク州の工業都市コスチャンティニフカも要衝となっている。
ロシア軍は数カ月にわたり、この都市への接近を試みてきた。同市はウクライナ東部の「要塞地帯」の一部であり、ドネツク州奥深くへの進撃拠点となり得る。
ロイター通信は5月上旬、戦闘がコスチャンティニフカ郊外に達し、ロシア軍部隊が市南端から1マイル未満の地点まで接近、一部周辺地域では争奪戦が続いていると報じた。
対峙しているのは事実だが、昨秋に懸念されたような前線崩壊は起きていない。
ウクライナ軍第28旅団のドローン操縦士「ゴルブ」氏は、「攻撃を受けているが、戦線は維持している」と語った。
同氏によると、ゴルブ氏の部隊は昨年9月にワシントン・タイムズ紙が取材した時と同じ地域で活動している。当時、ウクライナ軍兵士や専門家らは、ロシア軍が3方向からコスチャンティニフカに迫り、ドローンや砲撃で補給路を攻撃していると警告していた。
現在、ロシア軍が占領した地域は限定的で、同軍はそのために極めて大きな代償を払った。
ウクライナ国防省によると、ロシア軍は4月だけで3万5200人超の戦死・重傷者を出した。ウクライナは、「ドローン軍ボーナス計画」と呼ばれる制度で、戦場の映像によって攻撃の成果を確認している。
ウクライナ側の数字を独立検証することはできず、双方とも損害情報を有利に見せている可能性がある。しかし、西側独立機関の分析もロシア軍が大きな損失を受けていることを示している。
戦略国際問題研究所(CSIS)は1月の報告書で、2022年2月から2025年12月までに、ロシア軍の戦場での損害は戦死・負傷・行方不明を含め約120万人に達したと推計した。戦死者は27万5000~32万5000人とみられている。
こうした損失にもかかわらず、ロシアは攻撃を続けている。ウクライナ国防省によると、4月には5085件の戦闘、ロシア軍による約7000発の誘導爆弾、9万6000回超の砲撃が前線全域で確認された。ロシア軍は依然としてドネツク州で圧力をかけ、スミ州で偵察を行い、ウクライナ軍の予備兵力を数百マイルにわたる前線全域へ分散させようとしている。
しかし、ウクライナ当局によると、ロシア軍が攻勢を急速な領土獲得へ結び付ける能力は低下している。
ゼレンスキー大統領は4月、「ウクライナと英国の情報機関は、前線状況が過去10カ月で最も良好だと評価している」と語った。
同氏は「全体として前線は維持されている。状況は複雑だが、この10カ月で最も良い」と述べた。
ウクライナ当局によると、最大の理由は技術だ。ドローンは単なる補助的な装備ではなく、戦場を構成する中心要素となっている。
ロシア軍全面侵攻開始時にウクライナ治安機関から軍へ加わったヘルサク氏は、その変化は劇的だったと語る。
「2022年初頭、装甲車両や戦車は恐ろしく、対処が難しかった。だが今では、格好の標的だ。どこかに現れれば、すぐに焼き払う」と述べた。
ロシア軍は依然として歩兵を前線近くまで運ぶために装甲車両を使おうとしている。しかし、ウクライナ軍のシステムの射程に入った瞬間、「すべて燃え上がる」という。
ヘルサク氏は「今、われわれが破壊できない装備や装甲は存在しないことをやつらは理解している。全く存在しない」と語った。
フリツェニューク氏は、「ドローンがこの戦争を象徴する技術となったのは確かだが、単なる『ドローン戦争』と呼ぶだけでは現実を単純化し過ぎている。戦争ドクトリンそのものが、この3年間で根本的に変化した。かつては砲兵が損害の大半を与えていたが、現在では攻撃の80%以上がドローンによって行われている」と述べた。
ウクライナ軍は「ドローンライン」構想を通じ、この変化を体系化しようとしている。前線全域に最も効果的な無人システム部隊を拡大させる計画だ。
国防省によると、核心的な任務はロシア軍が損害なしには活動できない10~15キロの「キルゾーン」を構築し、ウクライナ歩兵へ継続的な航空支援を提供しつつ、敵が陣地に到達する前に標的を破壊することだ。
この計画には現在、「マジャールの鳥」「K-2」「アキレス」「ラログ」「ネメシス」「フェニックス」など、ウクライナの有名ドローン部隊が参加している。
国防省は今週、ドローンライン部隊が武器マーケットプレイス「DOT-チェーン・ディフェンス」を通じてドローンなどの装備を直接発注できるようになったと発表した。これにより、より迅速で柔軟な調達が可能になる。同省によると、参加部隊は2週間足らずで1億8480万フリブニャ(約6億6000万ドル)相当の装備を発注した。
こうした迅速な供給循環が新たな戦場の特徴となっている。ウクライナ軍部隊は有効な装備を特定し、開発者や調達担当へデータを還元し、ロシア軍の電子戦や戦場環境の中でも攻撃に耐えられるシステムを拡充している。
フリツェニューク氏は、「決定的要因は個々の要素ではない。ウクライナが築いた防衛イノベーションエコシステムだ。数量、自律性、電子戦への対応能力、迎撃ドローンはすべて重要だが、それらが一体で開発・配備されて初めて意味を持つ」と述べた。
人工知能(AI)はそのエコシステムの中で存在感を増している。国防省によると、200社超のウクライナ企業がAI搭載ドローンを開発し、300超のAI関連システムがブラベルに登録され、70超のAI・コンピュータービジョンシステムが既に前線で使用されている。
ロシア軍突撃部隊にとって、任務はますます困難になっている。発見されるのが早まり、長時間追跡され、迅速に直ちに攻撃を受けるからだ。
光ファイバー搭載ドローンは妨害電波の影響を受けず、コンピュータービジョンや自律誘導技術により、電子戦環境下でも標的に接近、攻撃できる。
フリツェニューク氏は「現在のロシア軍突撃部隊は、1、2年前には存在しなかった、新たに本格的に取り入れられた技術によって根本的に変貌した戦場に直面している」と述べた。
適応速度は今、月ではなく、数日から数週間単位で測られている。ヘルサク氏は、ロシア軍防御を上回るため、ドローンやバッテリー、周波数、弾薬を絶えず改良していると語った。
「ドローン戦争は毎日、毎週変化している。われわれは常に新たな障害、新技術、新ルート、敵レーダーに直面している。それを研究し、戦術を変え続けている」
同氏によると、大隊はメーカーの想定以上にドローン航続距離を延ばす方法も学んだ。
「メーカーは30キロと言うが、われわれは60キロに延ばす。敵は最大30キロしか飛ばせないと計算している。そこまで届くとは思っていない。だが、われわれはやつらの頭上へ真っすぐ飛んでいく」と語った。
次の段階は「深度」だ。
ウクライナ当局によると、前線後方12~100マイルの標的を狙う中距離攻撃が、ロシア軍補給拠点や司令部、防空システム、兵站路線を次々と攻撃している。
国防省によると、前線から12マイル以上後方への攻撃は3月、4月比で倍増し、2月比では4倍になった。
ロシア軍は人的損失だけでなく、次の攻撃を維持するための補給路や補給拠点、司令部も失いつつある。
ヘルサク氏は、部隊は既にロシア軍ドローン部隊や、迎撃ドローンや操縦士、装備を前線へ運ぶ補給路を攻撃していると語った。
「われわれはやつらの補給路、迎撃ドローン搬入ルート、操縦士交代ルートを把握している。使用車両も分かっており、交代時に破壊している。それが迎撃能力を弱めている」
それでも、ウクライナ側の見通しは慎重だ。ロシア軍は依然として人的資源で優位にあり、砲弾や爆弾、生産基盤も強固だ。ウクライナ歩兵は疲弊しており、政府は長期戦に必要な兵士の募集や交代に苦慮している。
補給問題も依然として深刻だ。ヘルサク氏によると、大隊が公式ルートで受け取る物資は必要量の一部に過ぎない。
「すべてが不足している。上級司令部からの物資を受け取ったとしても、平均して必要量の最大20%でしかない」と語った。
同氏によると、国からの月間配分は約700万フリブニャ(約2500万円)だという。
「それで買えるのはドローン・マビックを26~28機だけだ。その後どうしろというのか」と述べた。
残りはボランティアや友人、人脈、外国のパートナーからの支援に頼っているという。
ウクライナ軍司令官らは、ロシア軍が大規模な夏季攻勢を準備している兆候にも警戒している。ヘルサク氏は、そのためにはロシア軍がさらに大規模な兵力を集結させる必要があるとしつつ、部隊はその可能性に備えていると語った。
「接近経路で本格的に待ち構えている。準備はできている。すべての攻撃、すべての作戦に備えている。だからやつらは成功しない」
同氏によると、自身の担当地域では、もはや防御だけを考えてはいない。
「われわれが防衛を維持しているのは確かだ。しかし、少しでも押し返して前進したい。うまくいっているのが分かる」と語った。
それでも、ここ数週間で前線の状況が変化したとの感覚がウクライナ側で強まっている。ロシア軍は依然として一部地域で前進しているが、1マイル獲得するための代償は増大している。
ウクライナ軍のドローンは戦場をロシア軍の後方へと押し広げており、塹壕線で行われていたかつての攻撃は、今では数マイル先まで広がっている。
ウクライナにとって、それはまだ戦局の転換点ではないかもしれない。しかし、ロシア軍の攻勢で前線崩壊の恐れが指摘されていた数カ月前と比べれば、少なくとも戦線を維持できると信じられるようになっている。

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