(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の宇宙観測衛星が地球に落下するのを防ぐ救出ミッションが始動した。成功すれば、宇宙での整備・補修を前提に設計されていないNASAの無人宇宙機を民間のロボット探査機が捕捉する初めての事例になるとNASAは説明している。
このまま介入しなければ、ニール・ゲーレルス・スウィフト天文衛星(以下スウィフト)は、大気抵抗と最近の太陽活動の影響により、今月中にも軌道高度の重要な閾値を下回る見通しだ。
NASAの予測では、地球上空約300キロの最適高度を下回ると、スウィフトは今秋にも地球大気圏へ再突入する可能性が高いという。
スウィフトは、宇宙で最も強力な爆発現象であるガンマ線バーストの観測衛星として2004年に打ち上げられたが、その後、可視光、紫外線、X線、ガンマ線を用いて、はるかに幅広い宇宙天体を観測するようになった。
この天文衛星は、素早く飛び回るアマツバメ(スウィフト)にちなんで名付けられた。その名の通り、素早く機体の向きを変えて突発的な宇宙現象やその残光を捉えることができ、その機動力を生かして、長年にわたり彗星(すいせい)や重力波、ブラックホールを観測してきた。
米メリーランド州グリーンベルトにあるNASAゴダード宇宙飛行センターでスウィフト計画の主任研究者を務めるS・ブラッドリー・センコ氏によると、ハッブル宇宙望遠鏡はスウィフトよりもはるかに高い感度を持ち、より鮮明な画像を撮影できるが、観測対象へ向きを変えるには1~2日かかる場合があるという。一方、スウィフトはわずか数分で追跡観測を開始できるため、天体で突発的な現象が発生した際には、NASAのファーストレスポンダー(最初に現場へ駆けつける存在)の役割を担っている。
NASA天体物理学部門ディレクターのショーン・ドマガル・ゴールドマン氏は6月17日の記者会見で、「軌道を外れそうな宇宙機はすべて軌道を押し上げなければならないという前例を作りたくはなかった。しかし、これは単なる宇宙機ではない。天体物理学にとって他に類を見ない観測能力を備えた宇宙天文台だ」とスウィフト救出の必要性を訴えた。
NASAは昨年9月、この任務の担当企業にアリゾナ州に拠点を置くカタリスト・スペース・テクノロジーズを選定した。同社には、スウィフトとランデブー(接近)し、その軌道を引き上げる能力を備えた宇宙機の設計、製造、試験、打ち上げまで、わずか9カ月しか与えられなかった。
ロボット衛星LINKがスウィフトを捕捉する方法を示したアニメーション(NASA Goddard/Katalyst Space)
「LINK」と名付けられたロボット衛星は、米航空宇宙・防衛大手ノースロップ・グラマンのペガサスXLロケットで打ち上げられ、スウィフトと同じ軌道への投入に成功した。
打ち上げは悪天候やソフトウェアの不具合による延期を経て実施され、軌道投入後には地上との通信も確立された。今後LINKはスウィフトを捕捉し、数カ月かけてその軌道を地球上空約600キロまで引き上げる予定だ。
落下しつつあるスウィフトの救出法
低軌道を周回するすべての人工衛星や宇宙機は、大気抵抗により、徐々に軌道高度が低下する。特に、自前の推進力を持ち合わせていない場合は影響が大きい。
スウィフトの場合、太陽が11年周期のピークを迎え、この数年間で太陽活動が活発化したことにより、大気抵抗の影響が一段と強まった。
NASAによると、太陽は2024年に「太陽活動極大期」を迎え、強力な太陽フレアやコロナ質量放出(CME)を頻繁に引き起こした。その結果、地球の大気が膨張し、スウィフトにかかる大気抵抗がさらに増大したのだという。
その結果、本来であればスウィフトのミッションは自然に終了してもおかしくなかったが、スウィフトに代わる観測機が存在しないことから、NASAのチームはスウィフトによる科学観測の継続を試みることにした。
また、この救出ミッションには、将来の宇宙探査に必要な技術を試す目的もあった。

7 時間前
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