(CNN) ウクライナ中南部の街ニコポリは、ドニプロ川をはさんだ対岸にあるザポリージャ原子力発電所の陰に隠れ、めったに見出しを飾ることもない。だが地元当局によると、この街はロシアによる全面侵攻の最前線に位置し、ほぼ連日の攻撃にさらされてきた。
街から3キロほどの対岸にロシア軍の拠点があり、住民は短距離ドローン(無人機)の脅威に間近で直面している。
市内で高齢者や障害者に温かい食事を提供する慈善団体のリーダーを務める詩人のオレクサンドル・バリツェフ氏は、「実のところ危険に慣れてきた面もあるが、恐怖感が消え去ることは決してない」と語る。「とても恐ろしい。私がこんな恐怖を感じるのだから、われわれのボランティアセンターにやってくる高齢者たちの恐怖は言うまでもない」
当局が先月、インターネット上に投稿した動画には、車椅子に乗った87歳の女性がロシアのドローンに狙われる悲惨な場面が映っていた。この攻撃で、女性とその息子ら3人が死亡した。4月には路線バスがドローン攻撃を受け、4人が死亡した。
ロシアのFPV(一人称視点)ドローンが軍のアセットでなく民間人を攻撃する例は、このほかにも南部ヘルソンや東部クラマトルスクなど前線の都市で続発している。ロシア側は、ニコポリにあるウクライナ軍の脅威を標的にしているとの主張を繰り返してきたが、証拠はその逆を示している。
ドローン対策としてニコポリの街路には漁網が張り巡らされている(Oleksii Kirillov/TikTok)
バリツェフ氏によると、ニコポリに現れるドローンは数カ月前まで1日に2~3機だったが、今は昼夜を問わず1時間に約3機まで急増している。
住民は絶え間ないドローンの脅威にさらされ、ロシアによる「人間狩り」の犠牲にならないよう、日常の行動を変えざるを得なくなった。バス停のような屋外のスペースに立っていることは避けるよう気をつけなければならない。学校や幼稚園は閉鎖され、国営郵便局や路線バスのような公共サービスも日常的に中断する。
「人々は道路を歩くのに恐怖を感じながらも、新たな現実に適応している」と、バリツェフ氏は言う。「みんなうつむいて足元ばかり見るのをやめ、いつも顔を上げるようにしている」
ロシアの全面侵攻が始まる前、ニコポリは人口約10万人の、いちごの産地として知られる街だった。だが地元当局者らによると、これまでに住民の半数が転出したと推定される。
市内で20年以上前から貨物輸送に従事してきたオレクシー・キリロフ氏は、「街がみるみる空っぽになっていく。とても危険な状況で、攻撃は日々増える一方だ」と語った。ロシアの侵攻が始まってからは、輸送の業務より避難の手助けに力を注いできたという。
同氏はこの4年間で、戦闘用のドローンと動きの遅い偵察ドローンの見分けがつくようになった。恐怖は和らいでも、決して消えることがない。「よほどの愚か者でない限り、だれもが恐怖を感じている」と話す。

11 時間前
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