英FCA「トークン化ファンド」指針を公表|3,520兆円市場に新制度

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この記事の要点

  • 英FCAがトークン化ファンドの新指針を公表
  • 法改正なし、現行規制下でDLT活用を容認
  • 約2,600社・3,520兆円の英運用市場が対象

現行法のままトークン化ファンド容認

英国金融行為監視機構(FCA)は2026年4月30日、ファンドのトークン化を支援する新ガイダンスおよびポリシーステートメント「PS26/7」を公表しました。

今回の指針により、資産運用会社は新たな法改正を待たず、現行の規制枠組みの範囲内で分散型台帳技術(DLT)を活用したファンド運営が可能となっています。

受益権の記録・管理といった基幹業務にもブロックチェーン技術の適用が認められる構成となり、実務レベルでのトークン化導入が進む環境が整備されました。

あわせてFCAは、投資家が仲介機関を介さずにファンドへ直接アクセスできる「ダイレクト・トゥ・ファンド(D2F)」モデルも提示しています。

従来の販売・仲介構造を維持したまま導入可能な任意モデルとして設計されており、従来型ファンドとトークン化ファンドの併存を前提とした枠組みとなっています。

運用会社2,600社が得る新たな選択肢

首相宛て書簡で約束したロードマップ

英国は約2,600社の資産運用会社が国内外の顧客に代わり16.5兆ポンド(約3,520兆円)の資産を管理する世界有数の運用拠点であり、FCAはその競争力維持を戦略目標の柱に掲げています。

FCAはトークン化の本格普及に向けたデジタル資産ロードマップを首相宛ての書簡で提示しており、今回のガイダンスはその具体的な制度実装に位置付けられています。

ガイダンスの策定にあたっては業界との共同作業が進められ、インベストメント・アソシエーションのジョン・アラン氏は「パブリックチェーンモデルへの信頼性を提供するものだ」と評価しています。

FCA市場担当エグゼクティブ・ディレクターのサイモン・ウォールズ氏は「ファンドトークン化がルールの中でどう機能するかについて明確で実践的な枠組みを届けることに集中した」と述べています。

パブリックチェーンも条件付きで可

ウォールズ氏が示した「実践的な枠組み」の柱は、既存の規制を改定せずにDLTを活用した受益権の記録・管理を現行ルール内で認める点にあります。

パブリックチェーンの利用についても「適切な管理が整っている場合」に限り認められる方針が示されており、プライベートチェーンのみに限定されない柔軟な設計となっています。

ガイダンスによれば、D2Fモデルは任意採用とされており、運用会社は自社の業務体制に応じて既存の仲介モデルと使い分けることができます。

即時決済と小口投資家への門戸拡大

こうした枠組みのもとで、運用会社はファンドの受益権管理にブロックチェーンを採用することで決済の即時化やバックオフィス処理の自動化が見込まれ、運用コストの低減につながるとFCAは説明しています。

一方、投資家にとってはD2Fモデルの導入により、証券会社や販売代理店を介さずに直接ファンドへアクセスできる選択肢が拡大しており、小口投資家の参加障壁の低下が見込まれています。

こうしたファンド分野の整備に加え、FCAは卸売デジタル市場インフラにおけるDLT活用についても業界との対話を継続する方針を示しています。

米英の制度整備、ファンド市場に追い風

英国でこうした制度整備が進む一方、米国でも仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」の審議が大詰めを迎えており、主要金融市場で規制の枠組みづくりが加速しています。

英国側ではFCAのトークン化ガイダンスと並行して、英国家犯罪対策庁(NCA)が米国・カナダの当局と連携し仮想通貨詐欺の国際的な摘発を強化するなど、市場健全化に向けた取り組みも進んでいます。

規制の枠組みづくりと犯罪対策の両面から市場環境が整いつつあるなか、トークン化ファンドの実用化に向けた動きが加速しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ポンド=213.24 円)

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Source:FCA公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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