「未来を想像する」ことの重要な役割
人間は過去について考えるだけでなく、まだ起きていない未来についても頻繁に想像しています。
心理学では、自分に将来起こるかもしれない具体的な出来事を頭の中でシミュレーションする働きを「エピソード的未来思考」と呼びます。
たとえば「来月の休日に海へ出かけている自分」や「新しい職場で働いている自分」を、場所や状況まで具体的に思い描くことです。
こうした未来のシミュレーションは、計画を立てたり、意思決定をしたり、これから起こる出来事に備えたりするうえで重要な役割を持っています。
しかし未来を自由に想像しているように見えても、その内容は完全な白紙から作られるわけではありません。
過去の経験や「自分にとって他人とはどんな存在なのか」という考え方も材料になります。
そこで研究チームが注目したのが「愛着スタイル」です。
「愛着スタイル」が強く関連
今回の研究では、「愛着不安」と「愛着回避」という2つの傾向の強さを測定しています。
愛着不安が高い人は、相手に見捨てられないか、必要なときに相手が自分を支えてくれるかを心配しやすく、親密さや安心を強く求める傾向があります。
一方、愛着回避が高い人は、他人と親密になることや他人を頼ることに抵抗を感じ、自分一人で対処しようとする傾向があります。
研究1では、155人の参加者に「愛着不安」と「愛着回避」を測る質問に回答してもらった後、自分の人生で将来起こり得る具体的な出来事を5つ想像してもらいました。
そして、それぞれの未来がどの程度「人間関係に関係した内容だったか」を評価してもらいました。
すると、愛着回避が高い人ほど、想像した未来と人間関係との関連性が低くなっていました。
つまり、普段から他人に頼ることを避ける傾向が強い人ほど、自分の未来を思い描いたときにも他人の存在が薄くなる傾向があったのです。
ここで注意したいのは、「未来に他人がいない人=人間嫌い」という意味ではないことです。
愛着回避が高い人は、必ずしも他人が嫌いなのではなく、親密な関係に距離を置いたり、「できるだけ自分で何とかする」という形で人間関係を処理しやすいと考えられています。
そのため、未来を組み立てるときにも、無意識のうちに「誰かと一緒に行動する自分」より、「一人で行動する自分」が想像されやすいのかもしれません。
そして興味深いことに、その正反対の傾向も確認されました。
愛着不安が高い人ほど、未来の出来事と人間関係との関連性が高かったのです。
つまり、「相手は自分を見捨てないだろうか」「必要なときにそばにいてくれるだろうか」と人間関係を強く意識する人ほど、未来の世界にも他人を登場させやすかったと考えられます。






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