「1種」だと思っていたバオバブが、遺伝的には2つに分かれていた
今回の研究以前、バオバブ属は世界で8種が認められており、そのうち6種がマダガスカルに固有とされていました。
中でも「アダンソニア・ザー(Adansonia za)」は、マダガスカルで最も広い範囲に分布するバオバブの1つです。
ところが以前から、北部に生えるA. zaには、南部のものとは少し異なる特徴があることが知られていました。
マダガスカルに生息する既知の6種のバオバブのおおよその分布域 / Credit: Karimi et al., TAXON (2026)研究チームは、この違いが単なる地域差なのか、それとも別の種と呼べるほど大きな違いなのかを確かめるため、マダガスカル各地から集めたバオバブを遺伝子レベルで比較することに。
解析には、比較対象となる別の植物も含めた70サンプルが用いられ、そのうち58サンプルがマダガスカルのバオバブでした。
研究では「ターゲット・シーケンス・キャプチャー」と呼ばれる手法を使い、数百の遺伝子に相当するDNA配列を読み取って、バオバブ同士の進化上の関係を詳しく調べています。
すると、これまでA. zaとしてまとめられていた木が、遺伝的には明確な2つのグループに分かれることがわかりました。
南部のA. zaに対し、北部に生息する集団は、南部の仲間よりもむしろ別種の「A. perrieri」や「A. madagascariensis」に近い関係にあったのです。
つまり見た目が似ていたため同じ種にまとめられていたものの、その「家系図」をDNAから作り直してみると、北部の木は別の枝に属していたことになります。
しかも違いは遺伝子だけではありません。
北部の集団には、葉の構造や花びらの色などにも南部のA. zaとは異なる特徴が知られていました。
これらの証拠を総合したチームは、北部集団を独立した新種と判断し、「アダンソニア・ボジー(Adansonia bozy)」という名前をつけました。
これによって、マダガスカルに生息するバオバブは6種から7種へ、世界全体では8種から9種へ増えることになります。






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