(CNN) 米アトランタ国際空港の小さな一室で、執行官は男性の電子機器や荷物から日記まで捜索した。令状はなく、男性の抗議も、弁護士と連絡を取りたいという要求も聞き入れなかった。
捜索を受けたサム・チュニックさんは米国人で、2025年4月に開設された法執行官の訓練施設建設計画に反対する運動にかかわったことがあった。弁護士によると、同年1月、ドミニカ共和国で休暇を過ごして米国に帰国したチュニックさんは、米税関・国境警備局(CBP)と米連邦捜査局(FBI)によって連行された。
質問に答えるのを拒んだところ、執行官はチュニックさんの身体捜索と所持品の捜索を始め、次にスマートフォンへのアクセスを要求した。検察によれば、チュニックさんは、端末内のコンテンツを全て消去するパスコードを執行官に教えたとされる。
チュニックさんは同年11月、差し押さえを免れる目的で器物を損壊した罪に問われて起訴された。本人は無罪を主張しており、それ以外の罪では起訴されていない。
専門家はCNNの取材に対し、国境や国際空港など米国への玄関口で、合衆国憲法修正第4条(正当な理由のない捜索や差し押さえの禁止)の規定がないがしろにされていると指摘。今回の裁判は、そうした現状に異議を唱える足掛かりになり得るとの見方を示した。
ホワイトカラー犯罪の弁護を専門とするポール・カリ弁護士は「憲法修正第4条が国境には適用されないということではない」「国境以外の場所で通常求められるような、『合理的な疑い』が国境では必要とされないということだ」と解説する。
令状なしの捜索
弁護側によると、CBPの係官はチュニックさんに児童ポルノ所持の疑いがあると告げ、スマートフォンの中身を見せるよう要求した。しかしこのほど開かれた審問の中でCBP側は、児童の性的虐待に関連したコンテンツ所持に関してチュニックさんを疑う理由はなかったと認めた。
「それがサム(チュニックさん)に当てはまると考える理由はなく、いわば口を開かせることを目的としたいつものやり方だったと彼らは言い切った」とマシュー・ドッジ弁護士は話す。
執行官には「国籍に関係なく」、米国への入国者の電子機器を捜索する権限があるとCBPは主張する。
チュニックさんが抗議して捜索を拒んだにもかかわらず、係官は手荷物と日記の捜索を行い、続いてスマートフォンを見せるよう要求したという。
チュニックさんは、名刺を持ち歩いていた自分の弁護士に連絡を取るよう何度も要求したと振り返る。
これに対して執行官は「あなたが話すことを拒んでいるのはあなたの権利だ。我々には、あなたのスマートフォンの中身を調べる権限がある」と告げた。この場面の映像はチュニックさんの弁護団に提示された。
なぜ弁護士に連絡することが許されないのかとチュニックさんが2度目に尋ねると、「入国管理や税関の場合は話が違う」と突っぱねられたという。
弁護側が3月に提出した書面によると、チュニックさんは「我々には捜索の権限がある。令状は必要ない」とも通告された。
一方、チュニックさんに黙秘権があることなどは告知されず、弁護士が立ち会う機会も与えられなかったと弁護側は訴える。
「サムの最大の関心事は自分のプライバシーを守ることであり、不法行為の証拠を隠すことではなかった」とドッジ弁護士は強調する。
弁護側は3月の書面の中で、チュニックさんが捜索を受けたのは、法執行官の訓練施設に反対する団体にかかわっていたためだと主張した。
この時の抗議運動では警察とデモ隊が衝突して活動家多数が逮捕された。23年1月には、警官が1人の男性を57回銃撃する事件が発生。警察側は、この男性が同施設付近で警官に発砲したと主張している。

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